これもベテランの味だ。8月18、19日に行われる将棋の王位戦七番勝負第4局を前に、17日に記者会見が行われ、木村一基王位(47)が各社の質問に対応した。その中で、西日本新聞「こどもタイムズ」の小学生記者から、年下の相手は対戦しにくいかと聞かれ「鋭い質問ですね」とニヤリ。29歳下の藤井聡太棋聖(18)とのシリーズだが「もう慣れてしまいました」と微笑んで、会場の雰囲気を和ませた。
木村王位は、ファンから親しみを込めて「将棋の強いおじさん」と呼ばれ、その実力だけでなく、イベントや解説での巧みなトークでも人気の棋士。開幕から3連敗し、後がなくなった状況での会見であるものの、各社の記者からの質問にも丁寧に対応していた。さらに口調が優しくなったのが、子ども記者からの質問だ。昨期、木村王位が最年長で初タイトルを獲得、藤井棋聖が7月に最年少でタイトルを獲得という「最年長VS最年少」と注目される中、「年が下の相手は、年が近い人より対戦しにくくはないですか」と問われると、「将棋はどんな人でも年が離れていても楽しめるゲームなんです。それほど気にしないですね」と答えた。
あっさり答えるなら、これで終わるところだが木村王位は追撃の一手。「去年、(王位戦で)対戦した豊島(将之)さんも年下なんです。年々、年を取ってくるでしょう。少しずつ年下の人が多くなってくるんですよね。もう慣れてしまいました。このシリーズも藤井さんがずいぶん年下で、29だか30だか離れているわけです。でもあんまり気にはなりません」と、本職記者の質問以上にたっぷりと言葉を続けた。
今回のシリーズでは通常2通の封じ手を3通とし、1通をチャリティ品にしようと提案したのも木村王位。販売した上で、西日本新聞民生事業団を通じて今年7月の豪雨被災地に寄付することになっている。「被災された方には本当に心からお見舞い申し上げます。将棋でできることはあまり少なくて。少しでも元気を出していただくきっかけになればと発案しました。これから先も大変だと思いますけれども、どうか元気を出していただきたいという思いでおります」とコメントしていた。
(ANNニュース)