安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選で、1日、石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長が出馬を立候補した。2日には菅義偉官房長官が記者会見を行い、立候補を表明。三つ巴の対決構図になっている。
【映像】何が違う?「党大会投票」と「両院議員総会投票」総裁の選び方(5分ごろ~)
1日、立候補を表明した岸田政調会長は「格差解消をテーマに経済・社会・世界の分断を強調へ導く」として「分断から協調」を提言。アベノミクスについては「成長の果実が中間層や中小企業、地方に分配されていない」と主張した。収益への課税見直し(株の売買、預金の利子等)については「高齢者でも多額の所得がある富裕層には相応の負担をしてもらう必要がある」としている。
一方、石破元幹事長は「国民の納得と共感が得られる自民党でありたい」「政府を謙虚に機能させる」とコメント。消費税については「果たすべき役割をもう一度検証する。代わりとなる安定財源があれば引き下げもある」といい、現在の代替財源として企業への課税強化を検討するとしている。また、森友・加計学園問題や「桜を見る会」の問題について質問が及ぶと「再調査が必要ならば当然やる」と回答。新型コロナウイルスの対策については「収束前に特措法を改正すべき」と主張した。
■残任期間1年の“ショートリリーフ政権” 求められる安定した政治運営
自民党の幹事長や副総裁を務めた山崎拓氏が2日、ニュース番組「ABEMAヒルズ」に出演。28日、ABEMA NEWSに電話出演した際は、後任の“ポスト安倍”について「石破さん以外にない」と語っていた山崎氏。しかし、菅官房長官を支持する方向となっている細田派など5派の所属議員数は、国会議員票の過半数である268人を超え、事態は“菅一強”の見込みに。
状況が変わった現在の動きについて、山崎氏は「今度の選挙では国会議員中心になる。(菅官房長官に)決まりだと思う」と発言。菅官房長官といえば、安倍政権下で辞任した菅原前経済産業大臣、現在裁判が進行している河井克行前法務大臣に最も近い存在だ。菅官房長官が総理になった場合「安倍政権の負の遺産をすべて背負った内閣になるのではないか」といった見方もあるが、山崎氏は今回の総裁選をどう見るのか。
「河井さんの問題は裁判が進行中で、菅さんが国会を開けば議員辞職勧告決議案が野党側から出されると思う。その処理で国会は大変になる。菅さんが総理になられると思うが、当面の間は国会運営に苦労されるだろう」
さらに今回の自民党総裁選挙について、自民党の総務会は、党員投票は実施せず「両院議員総会を開いて新しい総裁を選ぶ」と発表。これについて山崎氏は「本当は党大会による投票で決定した方が本格政権になるが、今回は安倍さんの残任期間があと1年ですから、その間の“ショートリリーフ政権”。便宜的に執行部は両院議員総会を選んだのでは」と話す。
28日に電話出演した際も「安倍さんが辞めると思っていなかった」と語っていた山崎氏。これまで派閥争いや論争が活発だった自民党だが、新政権に求められるのは「安定した政治運営」だという。
「今はコロナ禍の問題を乗り越えることが一番肝心。与野党が一致して、対策を行うという意味では、論争をやっている状況下ではない。安倍さんの残任期間があと1年というところで、オリンピックができるかどうかも含めて、混沌した情勢にある。経済がコロナ禍で疲弊している中では、安定した政治の運営が求められている」
自民党総裁選は8日に告示、14日に投開票が行われる。
(ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)
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