将棋の叡王戦七番勝負第8局が9月6日に行われ、豊島将之竜王(30)が永瀬拓矢叡王(王座、28)に勝利、シリーズ成績を3勝3敗2持将棋のタイに戻し、決着は最終第9局に持ち越された。
【動画】豊島竜王、永瀬叡王に勝利!記録的ロングシリーズ、最終の第9局へ
負ければ挑戦失敗と追い込まれていた豊島竜王だったが、角換わりの出だしとなった本局で、序盤から起きた攻め合いで主導権を握ると、その後もリードも拡大。持ち時間でも常に余裕を持って指し続けると、なんとか粘ろうとする永瀬叡王に逆転のきっかけを与えず、そのまま力強く勝ち切った。直近10局(公表分)では2勝8敗と大きく負け越すなどスランプ説も上がっていたが、史上4人目となる竜王・名人も達成した実力者が、土壇場で本来の力を見せる快勝劇を演じて見せた。対局後、豊島竜王は「2勝3敗という状況だったので、なんとか第9局に行けるようにと思っていました。フルセットになってホッとしました。盛り上げるという意味では、役目が果たせたというところでしょうか」と安堵の表情を見せていた。。
今回の叡王戦七番勝負は、対局数、手数が多いことで注目を集めている。次局の9局目が決定局となるが、第1局が千日手・指し直しとなっているため、実質的には“十番勝負”に。1982年の第40期名人戦、中原誠名人 対 加藤一二三十段(千日手2局、持将棋1局)と並ぶものとして話題になっている。また七番勝負の合計手数は、第7局終了時の1232手が、既に最多記録となっており、本局の75手を合わせて、1307手で記録を更新した。
なお、対局によって持ち時間が異なるという独自ルールの叡王戦だが、第9局の先手・後手、持ち時間は本局終了後に決められ、振り駒の結果、豊島竜王の先手、持ち時間は永瀬叡王が選んだ各6時間になった。これに豊島竜王は「なんとなく6時間かなという気がしていました。このシリーズは流れで、とことんやっていこうとなっているので、第9局も粘り強くと思っています。これだけたくさん戦って最後なので、悔いがないように指したいと思います」と抱負を述べた。第9局は9月21日、東京都渋谷区の将棋会館で行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)