自民党の総裁選が告示され、“ポスト安倍”の座を争う選挙戦がスタートした。総裁選には石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長が立候補した。
そんな中、多くの派閥からの支持に地方票固めと、独走する菅官房長官。各候補はきょう立候補の届け出をしたばかりだが、永田町ではいま「菅総理大臣誕生で即、解散」の風が強まっているという。テレビ朝日・政治部部長の足立直紀氏は次のように話す。
「今月末にも衆議院を解散して10月25日選挙、というのが今考えられる最も早い選挙日程なので、そこから考えて地元の方で選挙事務所といったものを作っていこうという議員もかなり出てきているようだ。まだ菅氏は解散について言及したことはないが、永田町では早期解散になるのではないかという見方が大勢。安倍総理が辞任して“菅総理誕生”が濃厚になってきたところで、各社の世論調査を見ると内閣支持率が跳ね上がったり、自民党の支持率も上昇したり、菅氏への期待も強い。菅内閣ができて早いうちに解散した方がいいのではないかというのが今、自民党内で強くなってきている」
この解散風は「新型コロナウィルス」との関係も。7日の東京都の感染者数は1日あたり70人台となり、感染者数の減少と衆議院の解散総選挙は切っても切り離せない状況のようだ。
「まだ一時的だが追い風にはなる。コロナの波はいつどうなるかわからないが、このまま収束方向に向かったまま今月末を迎えてくると、菅氏としても『解散してもいいのかな』という空気になってくる可能性はある」(同)
一方、野党はきのう合流新党の代表選挙が告示さればかり。一枚岩とは言えない中での選挙は、野党側にとって不利な状況は否めない。
「野党は合流する前からだいたい選挙調整はやってきた。確かにまとまってない選挙区はあり、もし解散となったら野党同士戦う選挙区はどうしても出てくると思うが、可能な限り一本化して臨むと思うので、そこは大きく変わらないとみている。ただ新党ができたばかりなので、野党としても多少焦りはあるかなと思う」(同)
すでに菅氏有力との見方がある今回の総裁選について、東京工業大学准教授の西田亮介氏は「まずは国会議員の派閥票をどのように固めるかということで、菅氏が5派閥の支持を取り付けているという点で大変有利な状況。頭一つ以上リードしているのでは」と話す。
また、3人の候補者について「キャラクターがはっきり分かれていて面白い状況」だとし、「例えば菅氏の経歴を見てみると、叩き上げとしての色彩が強い。社会人を経験してから大学の夜間部に入ったあともう一度働いて、その後政治の世界へ行ったように苦労人だ。岸田氏は『宏池会』と呼ばれる自民党のグループに属していて、エリート色が強い。2世議員でもある。外務大臣、この間は政調会長のイメージもあるかもしれない。この2人は政府の要職を務めていたので主流派に属していたと言える。一方の石破氏は、防衛大臣や農水大臣、幹事長など要職を経験してきたが、政権批判を行ったりしてきたこともあってこの間、傍流にいた。本人のみならず石破派の関係者も一部を除き主要ポストにつけないという状況にいて、派閥ごと冷や水を浴びせられてきた」と述べた。
さらに、注目は菅氏の“権力掌握過程”に絞られているという。「官房長官は毎日記者会見の対応をしなければならないので、メディア受けすると同時に、手堅さも求められる。総理大臣の女房役とも言われるので、そういう人は誰か? 例えば、距離が近いところだと河野太郎(現防衛大臣)氏がどうなのかと言われたりもしている」。
一方の2人にとっては厳しい戦いだとし、「岸田氏は安倍総理から政権を譲ってもらえるのではと期待していたところもある。石破氏は2018年の総裁選でも安倍総理と戦ったことがあるが、特に自民党国会議員の中での信頼感が乏しい。味方批判はないだろう、と。この間、党内の派閥に対する切り込みも強くなって、政権の敵対勢力に強く当たるというのが安倍政権のやり方でもあった。その政権で官房長官を務めたのが菅氏で、そのやり方は基本的に踏襲されると考えるのが普通だ。その時、石破氏に近い人たちからすると『本当に石破さんについて行って自分は大丈夫なのか』と思えてしまう。厳しい戦いになるだろう」と述べた。
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