将棋の叡王戦七番勝負第9局が9月21日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、豊島将之竜王(30)が永瀬拓矢叡王(王座、28)に111手で勝利した。シリーズ成績4勝3敗2持将棋で、豊島竜王は初の叡王獲得で、二冠に復帰。七番勝負として史上最多、合計手数1418手の大熱戦となったシリーズに、ついに終止符を打った。
第1局で千日手・指し直し、第2局、第3局に2局連続の持将棋と、歴史に残るロングシリーズを制したのは豊島竜王だった。七番勝負としては史上初の第9局で、角換わり腰掛け銀の出だしから、中盤の難所では2時間以上の長考も入れて、難解な局面を打開。これまで数々の対局で驚異的な粘りを発揮してきた永瀬叡王に対して隙のない戦いに終始し、叡王初獲得に成功した。
同世代のタイトルホルダー2人の対決として注目を集めた今シリーズだが、長手数の対局直後でも和やかに感想戦する様子がファンの間で話題にもなった。第8局終了後のインタビューでは、豊島竜王が「このシリーズは流れで、とことんやっていこうとなっている」と語るなど、将棋界のトップクラスにいるもの同士が、タイトル戦の大舞台で存分に将棋を堪能したこともわかる、記録にも記憶にも残る勝負となった。
対局後、豊島名人は叡王獲得について「名人戦は内容がよくなかったですし失冠してしまったので、今年度はあまりいい結果が出ていなかったですが、一ついい結果が出せてよかったです」と語ると、二冠保持については「あまり内容がよくない将棋があるので、もうちょっとうまく指せるようにしないと、だんだん厳しくなると思います」と、早くも気を引き締めるようなコメントがみられた。また、第9局まで伸びた七番勝負については「持将棋や千日手、少し予想していたところはありますが、ここまでこういう展開になるとは思っていなかったです。いい経験にはなりました」と述べた。
◆叡王戦七番勝負の経過
第1局 △永瀬 113手・千日手 豊島△
指し直し局 ●永瀬 115手 豊島○
第2局 △永瀬 222手・持将棋 豊島△
第3局 △永瀬 207手・持将棋 豊島△
第4局 ○永瀬 232手 豊島●
第5局 ○永瀬 113手 豊島●
第6局 ●永瀬 139手 豊島○
第7局 ○永瀬 91手 豊島●
第8局 ●永瀬 75手 豊島○
第9局 ●永瀬 111手 豊島○
総手数 1418手 ※七番勝負の最多手数記録
(ABEMA/将棋チャンネルより)