新名人となって1カ月半ほどが経った。「名人」と呼ばれることにもようやく慣れた。ただ、渡辺明名人(棋王、王将、36)の様子は、最も歴史あるタイトルを手にしても特に変わらない。「反響は大きかったので、その大きさでタイトルの重みは改めて感じましたけどね」とあっさりしたものだ。歴代5位、現役3位となるタイトル26期と、既に将棋史に名を深く刻んでいる棋士だけに、名人と呼ばれても、時に“現役最強”と呼ばれても特に動じない。ただひたすらに、強い棋士だ。