堀江氏とトラブルの餃子店休業 “第三者”の誹謗中傷に法的な問題は? 「1対1の揉め事が、SNSに書いたら1対多数になる」
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 1軒の餃子店が休業を決めるきっかけとなったのは、有名人によるSNSへのある書き込みだった。

【映像】“堀江氏vs餃子店”騒動 法的な問題は

 「『ウチはマスクしてないと入店できないんです』の一点張りで話が先に進まない。『面倒くさいんで入店しないでくれ!』とピシャリ。マジやばいコロナ脳。狂ってる」

 これは先月、実業家や投資家として知られる堀江貴文氏がFacebookに投稿した内容の一部だ。堀江氏が知人2人と訪れた飲食店でマスクの着用をめぐって議論となり、入店を拒否されたということが書かれていた。

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 もともと、堀江氏が訪れた飲食店はマスク着用での入店を呼び掛けていたが、堀江氏側にマスクをしていない人がいたところその対応を巡り問題が起きたとみられている。その時の様子について、堀江氏はFacebookにこう書き込んでいた。

 「別にマスク着用を拒否してるわけでもなく、ルールの厳しさを聞こうと思ってるだけなのに、超失礼な対応されて怒りに震えてる」

 すると、この書き込みが炎上。事態は思わぬ方向へと向かった。それは、餃子店への誹謗中傷だった。

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 堀江氏側は具体的な店名を明かしていなかったが、一部の人々が書き込みから店を特定。この後から餃子店にはイタズラ電話が続き、注文や予約ができず営業もままならない状況に。さらに、店側が「妻が体調不良になってしまい、営業が続けられるような状態では無いので、妻の体調が落ち着くまでしばらくの間休業します」とブログで説明する事態に。現在は削除されている当時の餃子店のブログには、堀江氏への反論やマスク着用ルールへの悲痛な思いがつづられていた。

 有名人によるSNSへの書き込みが発端となり始まった、店への誹謗中傷やイタズラ電話。まったく関係のない第三者がSNSを見て抗議行動を起こす、こうした行為は罪に問われないのか。『ABEMAヒルズ』では、ネットのトラブルに詳しい藤吉修崇弁護士に話を聞いた。

 「暴行、脅迫に限られず、無言電話をかけることに対しても威力に該当するので、威力業務妨害になる可能性はある。しかし、同じ人が何度も無言電話をかけないと威力に該当しないとされるので、複数人が合わさって無言電話が続くという状況になると厳しい」

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 一方で、堀江氏に対しても「やりすぎでは?」との声も上がっている。これについて堀江氏はTwitterで「腹が立ってそれをFBに書くことすら許されないのか? 知らん人がわざわざ店を調べてクレーム電話まですることまで予見しなきゃいけないとかおかしくね?」と述べている。

 影響力のある有名人がSNSにこうした書き込みをすることで、名誉棄損や業務妨害など法的に問題にはならないのか。藤吉弁護士は次のような見方を示した。

 「どの店かわかるような形で攻撃的な書き込みをするというのは、当然これくらいの事態までは予見できるだろうと。私は違法に該当するのではと考える。とはいえ、刑事的に何かの罪に引っかかるかというと難しい。基本的には意見・論評の域を出ないと思うので、民事上の損害賠償請求を負うということはあると思う」

■「SNSに書いた時点で1対多数の揉め事になるのは十分予見される」

 この騒動について、明星大学准教授で臨床心理士の藤井靖氏は「堀江さんについては非常に頭のいい方だと思うし、既成概念にとらわれない部分は素晴らしいと思う。しかしネットに何か書いて発散したいという気持ちもわかる一方で、感情的なことを書きたいのであれば公開していない日記に書くか、もしくはベストな策とはいえないが自分も含めた全てを匿名にしたサブアカウントにでも書けばいいのではないかと思う」とコメント。

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 書き込みをきっかけに店が休業したことについては、「そもそもお店と堀江さんの個人的な揉め事なわけで、それをFacebookなどSNSに書いた時点で1対多数の揉め事になるのは十分予見される。それはネット上では扇動にあたり、ネットの世界で業績をあげてきた堀江さんが予見できないわけはないと思うし、いくら店名を伏せたとしても特定される可能性があるのは知らないはずはない。自分でフォローしきれないところで弊害が起きうることをわかっていてこれからも言いたいことを言い続けるんだとしたら、自分がやったことをきっかけに人が亡くなるくらいのことでもない限り問題性に気づかないのではないか」と指摘する。

 一方、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「おかしいなと思うことは、もちろん個人名・店名などを伏せた上でなら、影響力がある方でも言っていいと思う。今まで“言うべきでない”という論調で封殺されてきたものを、個人の力、共感の力を使って変えられるというのはSNS世代だからこそ見てきた。ただ、何より良くないのは第三者が誹謗中傷やいたずらなどの営業妨害をする行為で、なぜこういった行為に参加してしまうのか」と自身の考えを主張。

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 第三者の誹謗中傷や営業妨害について藤井氏は、「堀江さんは“空気を読まずに言いたいことを言う”象徴的な存在。ある種“自分にできないことをやってくれる”存在でもあって、自分を堀江さんに投影してやってしまうということだと思う。ただ、これまでの研究や調査からすると実際に行動に移している人は少数で、一部の人が繰り返しやっていることだと思う」との見方を示した。

 また、有名人の発信は「内容と目的による」と指摘。「いくら言いたいことがあるからといっても、『これここで言う必要ある?』という書き込みは溢れている。(公の場で)言う必要があるのか、言う目的は何なのかを考えるべき。“個人の範疇による思いや目的”を全て許容してしまうと結局指殺人のようなことが起こってしまうわけで、影響を考えたり自分の立場を踏まえた上でやるのは有名人・一般人関係ないと思う。すべての人が目的や影響、書き込むべき内容かを考えていかないと、同じようなことが繰り返されて誰かが傷つき続けるし、場合によっては人の命にも関わる」と述べた。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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