将棋ファン憧れの「脳内将棋盤」はパターンも様々 藤井聡太二冠はまさかの“盤なし”で思考
【映像】ABEMAでみる

 将棋ファンが憧れるものの一つに「脳内将棋盤」がある。文字通り頭の中に将棋盤を思い描くというもので、熟練者になるほど映像が明確になり駒も動くという。棋士、女流棋士らの会話では、まるで日常のように出てくるものだが、実際に頭の中でイメージを作って動かすというのも、非常に難しいもの。中村太地七段(32)、山口恵梨子女流二段(29)のトークでは、この脳内将棋盤についての様々なエピソードが語られ、ファンを大いに楽しませた。

 将棋は1手ずつ手を指し進めていくが、盤上の駒を実際に動かしてシミュレーションをすることはできない。この手を指したら相手はこう返して、そして自分は…という流れを、頭の中でイメージするしかなく、棋士・女流棋士はこれを何通りも考えて、最善と思われる手を選択する。ABEMAの中継で解説、聞き手を務めていた中村七段と山口女流二段は、脳内に描かれる盤駒の様子から語り始めた。

中村七段

 僕は脳内の盤駒、動きますね。

山口女流二段

 人によって違いますよね。清水市代先生(女流七段)の脳内将棋盤が、すごくかわいらしいと答えられていました。結構ファンシーな感じだと。

中村七段

 白黒の人もいれば、カラーの人もいると聞きますね。僕は定まっていなくて、直前で見た盤駒だったり、連盟のモバイル中継だったり、大盤だったりします。

山口女流二段

 私も直前の盤駒なんです。固定されている人は、なんでそれでできるんですかね。

【動画】脳内将棋盤について語る中村太地七段と山口恵梨子女流二段(3時間42分ごろ~)

 どうやら棋士、女流棋士の間でも、実際に目にした盤駒をそのまま頭の中に持ってくる派と、全く別に「マイ将棋盤」を頭の中に持っていて駒を並べている派に分かれるようだ。脳内将棋盤が必要なものとしては、通常の対局以外にも詰将棋や脳内将棋(目隠し将棋)がある。脳内将棋は対局者が盤駒を使わず、符号だけを言い合って戦うもので、イベントなどではファンが盛り上がる鉄板パフォーマンスとしても知られている。

 脳内将棋盤の話題はまだまだ続く。中村七段、山口女流二段、2人ともいつごろからできるようになったか、よく覚えていないようだ。

山口女流二段

 その(脳内)将棋盤がなかった時にインタビューを読んでかっこいいなと思ったんです。それで1時間ぐらい将棋盤を眺め続けたことがあります、映そうと思って。全く意味がなかったですが(笑)

中村七段

 棋力が上がると脳内将棋盤ができてくるのはなんでだろう。アマチュアの方は、どれくらいからできるんですかね。

 実はこの2人が脳内将棋盤について語り始めたのは、とあるエピソードから。最年少記録を次々と樹立する藤井聡太二冠(18)が、インタビューで脳内将棋盤がないと答えたことがあるからだ。強くなる過程で脳内将棋盤ができていくはず。藤井二冠も当然持っていると思いきや、それを使っていないということが驚きだという.

山口女流二段

 藤井聡太先生がインタビューで、脳内に将棋盤がないとおっしゃっていましたよね。

中村七段

 それが衝撃の答えだったんですよ。ないっていうことがありえるんですか。頭の中で符号が浮かんでくるって。僕には何をおっしゃっているのかわからない。もう一回、どなたかにインタビューしていただきたい(笑)

 実際の将棋でも、盤上の駒が動くことを目で見ながら考え、それを脳内で再現しているはずなのに、藤井二冠の頭の中には盤駒がない。「7六歩」「5八金」といった符号で考える。画像ではなく文字情報。確かに棋譜ではそう記されているが、ほとんどの棋士・女流棋士が、脳内の盤駒を動かして考えている。だからこその驚きだ。

 将棋界では有名になっているエピソードでもあるが、視聴者たちも改めて驚き「脳内将棋は画像じゃなくて圧縮されたデータって感じなんだろう」「画像より文字の方が軽い」「コンピュータと思考同じなのかな」「映像の方が脳内容量食いそう」と、藤井二冠の脳をコンピューターに例える声が続出していた。

(ABEMA/将棋チャンネルより)

脳内将棋盤について語る2人
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棋士が語るマニアック解説
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