将棋の竜王戦七番勝負第5局が12月5、6日、神奈川県足柄下郡「ホテル花月園」で行われ豊島将之竜王(叡王、30)が羽生善治九段(50)に84手で勝利、シリーズ成績4勝1敗で竜王防衛を果たした。豊島竜王は過去3回あった防衛戦で全て失冠。タイトル防衛を目標に掲げていたが、タイトル100期の大記録をかけて臨んできた羽生九段に、1勝1敗の第3局から3連勝。迎え撃つ立場で最高峰タイトルを防衛、激動の2020年の年末に大きな結果を残した。
【中継】豊島将之竜王、初防衛!羽生善治九段のタイトル100期阻む
通算成績では38局で豊島竜王の20勝18敗と拮抗していた両者だが、本局は1日目を互角で終えると、2日目に入ってからは羽生九段のペースで進んでいた。それでも常にプレッシャーをかけ続けた豊島竜王が終盤に逆転。その後も、一手間違えれば再び逆転という難解な局面が繰り返されたが、正着を続けてリードを拡大。抜群の安定感も見せ、大記録を目指していた羽生九段の挑戦を跳ね返した。
豊島竜王は対局後、初防衛については「なかなかできなかったことが達成できなかったので、よかったと思います。3局目がやっぱり最後までわからない将棋だったので、印象に残っています」と、落ち着いた様子を崩さなかった。また会見でも、「目標として、タイトルをなるべく長く持ち続けて、タイトル戦線で戦い続けるのがあって。防衛しないとそれが難しいので、いずれは防衛を達成しないといけないと思っていました。タイトルを1回取るのも苦労した経験があったので、焦らずに実力をつけていけばと思っていました」とコメントした。
豊島竜王は、これでタイトル通算6期に。渡辺明名人(棋王、王将、36)、藤井聡太二冠(王位、棋聖、18)、永瀬拓矢王座(28)と4人いるタイトルホルダーの一角として、現在の将棋界をリードする存在になっている。2021年も、他のタイトルへの挑戦により三冠、四冠とタイトルを増やす可能性も十分にある。
(ABEMA/将棋チャンネルより)