将棋の藤井聡太王位・棋聖(18)が2月11日、第14回朝日杯将棋オープン戦で2年ぶり3度目の優勝を決めた。準決勝では渡辺明名人(棋王、王将、36)、決勝では三浦弘行九段(46)と対戦。いずれも最終盤では敗色濃厚といったところまで追い詰められたが、諦めない精神力と、鋭い勝負手で苦境を打開。2局連続での大逆転勝利で、自身5度目となる棋戦優勝を果たした。それでも優勝後のインタビューでは「反省して次に繋げたい」「読めていない手があったのが課題」と、今後に向けてもまるで隙のないコメントを出した。
現状に満足しないのが、トップ棋士の定跡だ。準決勝では“現役最強”とも呼ばれる渡辺名人に対し、最終盤では中継していたABEMAの「SHOGI AI」で勝率1%まで追い詰められたものの、持ち前の終盤力で自分の負け筋をぼかすごとく、1分将棋の中で勝負手を連発。一瞬の隙を見逃さず、劇的な逆転勝利を収めた。
続いて行われた決勝でも、三浦九段に追い込まれた。終盤に向かうにつれて苦しさが増す中、この一局でも怪しい手の連続で、局面を難解にする工夫を凝らした。悩む三浦九段に対して、チャンスを見つけた藤井王位・棋聖は、ここを確実に突いて逆転。3度目の優勝を手にした。
関係者やファンが、逆転勝利の連続に胸を踊らせたが、当の本人は3度目の優勝についても冷静。「優勝という結果を残せたのはよかったと思います。今日の2局はどちらも苦戦の内容だったので、反省して次に繋げられればと思います」と、真っ先に反省を口にすると、最終盤での逆転劇についても「秒読みに入ってから読めていない手が多い印象でしたので、そこが課題かなと思います」と、さらなる棋力向上に向けた課題が早くも口を突いていた。
藤井王位・棋聖は2020年度、棋聖、王位と連続してタイトルを獲得。一般棋戦でも銀河戦、そしてこの朝日杯と全棋士参加棋戦を2つ優勝。デビュー以来、数々の記録を打ち立ててきたが、今年度ははっきりと頂点に立つ結果を多く残した。年度成績では41勝8敗、勝率.8367と4年連続で40勝以上、勝率8割以上を記録。勝数・勝率ではトップに立ち、連勝数「14」もトップタイとなった。
◆朝日杯将棋オープン戦 持ち時間40分の早指し棋戦。一次予選、二次予選を勝ち抜いた棋士が、シード棋士を含めた計16人で本戦トーナメントを戦う。参加は全棋士、アマチュア10人、女流棋士3人で優勝賞金は750万円。2017年度、2018年度に藤井聡太王位・棋聖が2連覇した棋戦としても知られている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)






