問題作が“最高傑作”に… 武藤敬司、王者・潮崎を撃破! 「悪夢だ」「誰が取り返すんだ」ファンからは悲鳴も
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 一瞬の隙を突かれ、呆然自失の潮崎。死力を尽くし、GHCのベルトを奪取した武藤。試合直後、両者の対照的な表情が劇的な結末を物語っていた。

【映像】思わず息をのむ“劇的”な幕切れ

 2月12日、プロレスリング・ノアが11年ぶりの日本武道館大会「Distribution2021 ~ BACK TO BUDOKAN~」を開催。そのメインイベントは29分の死闘の末、挑戦者である58歳の武藤敬司が、王者・潮崎豪をフランケンシュタイナーで下しGHCヘビー級タイトルを奪取した。

 これはプロレス史において“特異”ともいえるカードだった。武藤流の言葉を借りれば「新たな問題作品」といえる。武藤の58歳にして初のGHC挑戦にIWGP、三冠のメジャー3タイトル制覇という記録的な意味合いもあれば、この1年間「アイ・アム・ノア」を掲げ三沢光晴、小橋建太などのイズムを戦いに刻み込んできた潮崎にとっても「集大成の武道館」という大義もあった。

 ABEMAで解説を務めた『週刊プロレス』の井上光氏は「新日本プロレス系(武藤)と全日本系(潮崎)のバイブルの戦い。さらには闘魂三銃士と四天王プロレス代理の戦い」とこの一戦を表現したが、各々の見方があるのもこのカードの魅力だ。

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 激戦で互いが繰り出していった技には、各々積み重ねて来たキャリアが詰まっていた。潮崎がゲスト解説を務めた秋山準を彷彿とさせる場外でのヒザ攻撃、小橋が思わず声をあげたマシンガンチョップ、三沢の影が頭をよぎるチンロックぎみの変形フェイスロックなど、“ノアの純度”が高いワザを次々と披露すれば、対する武藤はローリング・ソバット、浴びせ蹴りと往年のワザから、バリエーションのあるドラゴンスクリューを起点に、低空ドロップキック、地獄の足4の字と36年のキャリアを一つひとつの技に投影して見せた。

 クライマックスはプロレス史に残る“両雄のメッセージが行き交う攻防””といっても過言ではないだろう。潮崎がゴーハンマーの連打からリミットブレイク、ラリアートを次々と叩き込んで武藤を追い込むも、渾身のムーンサルト・プレスをかわされ自爆。すかさず武藤は前後にシャイニング・ウィザードを3連発、加えて三沢光晴の掟破りのエメラルド・フロウジョンを2度目のトライで成功させるもカウント「2.99」。

 さらに武藤の攻めは続く。トップロープに駆け上がり、ヒザに人工関節を埋め込んで以来封印してきたムーンサルト・プレスを狙う素振りをみせるも…ここは回避。会場が一瞬、“期待と不安”でざわつく場面だった。潮崎の反撃は体勢が崩れ、偶然にエメラルド・フロウジョン風に落下したロープ上からのブレインバスター、さらにエルボーの連打からローリングエルボーと三沢が乗り移ったかのような怒涛のムーブ。小橋の目の前で魂のムーンサルトも披露した。

 潮崎の勢いに飲まれそうな武藤だったが、解説席の秋山は冷静に「武藤さん、まだ目は死んでないですね」。潮崎の渾身のラリアットを受けた直後に武藤の“隠し玉”であるカウンターのフランケンシュタイナー。潮崎の喉もとを押さえてカウント・スリーを奪う姿に、武藤の必死さが垣間見えた。

問題作が“最高傑作”に… 武藤敬司、王者・潮崎を撃破! 「悪夢だ」「誰が取り返すんだ」ファンからは悲鳴も
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 武藤が積み重ねてきた経験から生まれた“一瞬の機転”が生んだ勝利に、視聴者からは「今日の武藤は凄かった」「最後の引き出しだ」「これか隠し刀は」など、興奮の声が殺到。一方、ノア・ファンからは「誰が取り返すんだ」「悪夢だ」などの落胆と悲鳴も。聖地帰還でのよもやの“潮崎敗戦”に「(新たな)門出が…」と困惑の声も寄せられた。この劇的な幕切れにノアOBの小橋も「んー…」と唸ると「言葉足らないですね」と一言。さらに「豪に時代を築いてほしかった。この1年じゃなくてずっと。この結果はちょっと信じられない。ショックですね…」と本音を漏らした。

 一方、全日本で武藤と激戦を繰り広げてきた秋山は「(武藤は)最後に何かを隠していると思った。(劣勢でも)最後まで相手を見てました」と武藤の一筋縄ではいかない戦いぶりを称賛し、激戦に敗れた潮崎へ「最後まで頑張った。次やったら全然違う結果になると思います」とエールを贈った。

 そして、試合後の"握手拒否”。スポーツマンシップの観点からみれば物議を醸しそうなシーンだが、ノア再入団から4年。とくにこの1年間は王者としてノアを背負い、ノアらしさを追求してきた潮崎豪。そんな潮崎が見せたこのシーンには「まだまだ戦いは続く」という無言の意思表明があったのかもしれない。

 今回の日本武道館、聖地帰還はノアにとって新たな出発のはじまりでもある。「良い試合だった」「この内容なら文句ない」「潮崎またいい試合を見せてくれ」といったファンの言葉には今後のノアに対する期待が込められていた。GHCを奪われても潮崎豪に対するファンの信頼が揺らぐことはない。

【映像】思わず息をのむ“劇的”な幕切れ
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【画像】一瞬ですべてを奪った「フランケンシュタイナー」 【ABEMA 格闘TIMES】
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