事故で右足ひざ下切断のこみみさん「何も提供してくれない第三者が『不謹慎』と言ってくる筋合いはないと思う」 障害を売りに働くことの是非
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 東京・新宿にあるガールズバー、欠損BAR「ブッシュドノエル」。その名の通り、店の売りは“欠損”だ。多くの“欠損女子”がキャストとして在籍し、先天的に肘から先がない人もいれば、事故で足を失い義足をつけた人もいるなど、欠損している部分はさまざま。

【映像】“障害をウリに”はダメ?「欠損女子」バーの想い

 生まれつき右手の指が欠損しているあもりさん。接客していたお客2人も手の指に障害があり、「指がない人のスポーツあるある」という共通の話題で盛り上がる。

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 指が欠損していることをネタにして明るく話すあもりさん。しかし、4年前にお店に入るまでは障害のことを隠しながら生活してきたという。「今のお仕事の前は、配達だったりあまりお客様とは関わりがない仕事をしていた。なんか逃げているような感じで」。今の仕事に対しては、「多分これがなかったら普通の生活をしていたんだろうなと。指がなくてありがたい思いをさせていただいていると思う」と話す。

 逃げない自分でいるために。自らの障害を生かした労働は、あもりさんにとって必要なことだ。しかし、斬新なスタイルのお店だけに、「障害者を見世物にするな!」「障害者で儲けるんじゃねぇ!」「ブッシュ(切り株)ドノエルという名前もふざけてる」といった多くの批判が寄せられた。

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 こうした声に対し、「ブッシュドノエル」店主の北川玲さんは「みんながどうやったら楽しくお金儲けができるかという感じでやっているので、五体満足の子と(仕事をするのと)変わらない」と話す。あもりさんも「たまに(批判を)目にすることはあるが、まあいいかなって。知らない世界がきっと怖いんだろうなって思ったりもする」と明かした。

 障害を売りにしていることについて、店の常連客からは「実際にやっていること自体はそうだと思うので反論はできないのかなと。ただ、テレビに出ている人たちとかも障害がないだけで自分を売っているわけなので、そんなに違いはないと思う」という意見も。

 24日の『ABEMA Prime』では、障害者が自らの特性を生かすことの是非を考えた。

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 事故で右足ひざ下を切断した「ブッシュドノエル」キャストのこみみさんは、店唯一の義足担当で、装飾した義足をSNSなどで発信している。人前に出ることは得意ではないものの、「欠損BARという存在をいろいろな人に知ってもらいたい」という思いから番組出演を決断したという。

 乙武洋匡氏は「こういうのも先天性か後天性かで分かれてきて、僕やぽわんさんは結構早い段階から自分の障害を相手に見せること、伝えることに躊躇なかったが、(後天性だと)割と自分の障害を相手に伝えるのは苦手というか、できたら隠したまま接したいという方が多かった。義足でおしゃれをしていこうというのはここ数年の風潮かなという気がする」と話す。

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 同じく「ブッシュドノエル」キャストのぽわんさんは生まれつき左腕前腕が欠損しているが、それを個性に働いている。最近、義手をあまりつけなくなったそうで、「重たいので、ない方が楽だなと最近気づいた。もともとは両親に言われて小さい頃からつけていた。(生活は)基本的にはだいたい大丈夫」と明かす。

 ぽわんさんがつけているのは装飾用の義手。乙武氏は「義手といっても2パターンあって、手の動きを補うような、物を掴んだりする機能がついた義手と、ぽわんさんがつけている装飾用の、手があるように見せるための義手がある。後者は何かを掴めるわけではないので、あるから便利、ないから不便という観点では全くない。装飾用の義手をする人はだいぶ減ってきている」と説明した。

 ヌードを披露するためにクラウドファンディングを計画している、ぽわんさん。その理由には、「昔アルバイトで撮影モデルをやりたいという時があって、脱ぐ前は通ったが、水着になったら障害があるからダメと言われたことがあった。本当に障害があったら需要がないのかということを知りたいという気持ちもちょっとある」という。

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 乙武氏は「人が美しさを感じる時や違和感のない状態というのは、義手をつけた、つまり健常者に近い状態なんだという共通認識があるとしたら、それを逆手に取って“こういう体だって美しさを表現できる”という思いがあるのかなと。そのあたりはどうか」と尋ねる。

 ぽわんさんは「義手もおしゃれなのでいいなと思うし、ない自分も見てほしいし、それも受け入れてほしいなという気持ちはある」と答えた。

 障害を売りにすることへの批判について、こみみさんは「“触れてはいけない”という障害者への意識が前提にあると思うが、少なくとも私は欠損BARで働き出して、自分の居場所というか『生きててくれて良かった』と言われたりしたことで、足がなくなったという事実を前向きに受け入れられるようになってきた。それなのに、私たちに何も提供してくれない第三者が『不謹慎』とか言ってくる筋合いはないと思う」と反論する。

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 そういった批判は健常者からくるのか、それとも同じように障害をもつ人から言われるのか。乙武氏は「もちろんTwitterは顔が見えないので、その方が男性なのか女性なのか、健常者なのか障害者なのかはわからないが、『自分は障害者ですけど、これ傷つきました』という意見はほぼいただいたことはない。『同じ境遇の方の気持ちを考えろ』はいっぱいいただく」と答えた。

 テレビ朝日平石直之アナウンサーは乙武氏の社会からの見られ方として、「乙武さんがメディアで発信することはある種、障害のある方々を代表して言っているようなところがある。似た境遇にある人にとってはそれを心よく思わないケースもあるだろうということについてはどう思うか」と尋ねる。

 乙武氏は「マイノリティになればなるほど、顔が売れている人間が言うと代表的なものを背負わされるというところに僕はすごく不均衡を感じている。例えば、(共演者の)パックンが何か意見を言った時に、『外国人タレントが何を言ってるんだ』と昔は言われていたかもしれない。でも、だいぶいろいろな方が増えてきて、それをパックンが背負わされる場面は少なくなってきたし、そういう批判も少なくなってきたと思う。それを僕は健全だと思っているから、僕も意見を発信する。ここからは僕以外のプレイヤーもいっぱい出てきて、『乙武はああ言ってるけど僕はそうは思わない』とか『私は乙武さんに賛成だ』といろいろな意見が取り上げられて、代表感が薄まっていくというのが望ましいと思う」との考えを示した。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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