プロ将棋界の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」のドラフト会議の模様が3月27日に放送され、15チーム内14チームの顔ぶれが決定した。前回大会同様に、ファン注目のドラフトは、初参加だった藤井聡太王位・棋聖が、同じ18歳の新四段・伊藤匠四段を1巡目に指名。2巡目には27歳の高見泰地四段と、圧倒的な最年少チームを結成した。これには将棋好きアイドル、SKE48鎌田菜月も「本当に伊藤さんを持ってくると思わなかった!」とびっくり。予想外の結果の連続に目を丸くした。
可能性としては考えなくもなかったが、人間関係が読めなかった。「めっちゃ意外です!藤井先生は、なんとなくここでは伊藤先生を選ばないと思っていたんで、まさか過ぎてびっくりしています。すごくいいですね。若い世代、楽しみです!」と声が弾んだ。
考えてみれば、藤井王位・棋聖の将棋界の人間関係など、なかなか見えにくい。師匠の杉本昌隆八段、昨年チームを組み研究仲間でもある永瀬拓矢王座あたりは、イベントやインタビューなどの会話でもよく登場する。確かに伊藤四段とは、小学生大会で対戦したことがある同い年だが、それ以上の情報が入ってこない。「昔の対局の話は聞くんですけど、今は連絡を取っているとか全然聞かないんで。ファンサービスもあるんですかね」と、藤井王位・棋聖なりのエンタメではないかと語った。
ドラフト前に「固めの予想」として当てにいった広瀬章人八段のチームだが、予想した麻雀絡みとは全く無縁。丸山忠久九段、北浜健介八段だった。コンセプトは「チーム早稲田」。これを聞いて「あ、早稲田!わかるっちゃわかりましたね、くそー惜しい!広瀬先生は共通点で予想すると当たりやすそうっていうのはわかりました」と、共通点でチームを作るという意味では当たっていただけに、笑いながら悔しがった。
このほか、驚いたポイントとしてはドラフト初参加となったレジェンド、羽生善治九段のチーム。1巡目に八王子の将棋クラブでつながる中村太地七段、2巡目には解説時の“かつら飛ばし”パフォーマンスでも知られる佐藤紳哉七段を指名した。「羽生先生のところは、本当によくわからないです!チームTシャツとか作ったら、すごいことになるかもしれないですね」。羽生九段がかつらを被る絵面を想像したのか、それとも逆か。いずれにしても、対局以外の部分でも大いに期待できるチームになったのは確かだ。
全体の顔ぶれを見渡すと九段、八段といった高段者から、勢いのある若手も入った。昨年、早指しながらベテランが大活躍したこともあり、今回は「本当に若手は早指しが強いのか」という検証という観点も、将棋ファンは持っている。「九段、八段も目立つ中、四段の先生もしっかり入っているので、噛みつきに行ってほしいですね。四段とかだと九段、八段となかなか当たらないので、ぜひここで力試しをしてほしい」と、注目ポイントを見つけた。
15チーム目は、ドラフトから漏れた棋士で行うエントリートーナメントで決まり、いよいよ全15チームが出揃う。鎌田も毎週かぶりつく、そんな熱く楽しい戦いはもうすぐ幕が開く。
◆ドラフト会議結果(左からリーダー、1巡目、2巡目。○は重複でくじ当たり、×は外れ)
渡辺明名人 近藤誠也七段 戸辺誠七段
藤井聡太王位・棋聖 伊藤匠四段 ×服部慎一郎四段 → 高見泰地七段
永瀬拓矢王座 増田康宏六段 屋敷伸之九段
羽生善治九段 中村太地七段 佐藤紳哉七段
佐藤康光九段 森内俊之九段 谷川浩司九段
三浦弘行九段 高野智史五段 本田奎五段
佐藤天彦九段 鈴木大介九段 古賀悠聖四段
広瀬章人八段 丸山忠久九段 北浜健介八段
菅井竜也八段 郷田真隆九段 深浦康市九段
斎藤慎太郎八段 ×佐々木勇気七段 → 村山慈明七段 ×池永天志四段 → 都成竜馬七段
◆第4回ABEMAトーナメント 前回までは「AbemaTVトーナメント」として開催。第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦になった。チームはドラフト会議により決定。リーダー棋士が2人ずつ順番に指名、重複した場合はくじ引きで決定する。第3回は12チームが参加し永瀬拓矢王座、藤井聡太王位・棋聖、増田康宏六段のチームが優勝、賞金1000万円を獲得した。第4回は全15チームが参加。14チームは前年同様にドラフトで決定。15チーム目はドラフトから漏れた棋士によるトーナメントを開催、上位3人がチームを結成する。対局のルールは持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チーム同士の対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負に変更された。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。