“ジェンダーギャップ”日本120位を田嶋陽子氏に聞く「『G7で最下位』という言い方もまだおごりがある」 女性の生き方めぐり田中萌アナ「悔しい」と涙も
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 世界経済フォーラムが3月31日に発表した「ジェンダーギャップ指数」で、日本は世界156カ国中120位だった。前回のランキングでは153カ国中121位で、今回1つ順位をあげたが、G7の主要7カ国では再び最下位となった。

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 指数は各国の政治、経済、教育、健康の分野で順位付けしている。日本では女性議員や女性閣僚が少ないことから、政治参画の分野では147位と世界最低水準となっている。また、経済の分野でも女性管理職の少なさから117位にとどまっている。

 ジェンダー問題における日本の厳しい現状について、元法政大学教授の田嶋陽子氏はこう警鐘を鳴らす。

 「『G7で最下位』っていうけれど、世界で最下位に近いということにピンとこないのか。『G7で』という言い方もまだおごりがあるというか、現状認識が浅い。はっきり言うけれども、男女差別というのは世界の最大差別のひとつ。日本でいえば、家事労働その他すべてを女にただ働きさせていること。それで日本は経済発展を遂げてきたわけだが、経済発展を遂げた後でも日本は修正しなかった。それはもう大変な差別で、家父長制をなくす努力をしないかぎり、一朝一夕にして変わらない。日本はその努力をしていない」

 田嶋氏は、日本に長く根付いた制度や風習を変えるには政治の力が必要だという。しかし、今回発表された指数でも女性の政治参画が進んでいない現状が改めて浮き彫りとなった。

 「“政治は男がやるものだ”と男たちが勝手に政治をやってきて、自分たちに都合のいい世界を作り上げてきた。政治の世界にいる女性は男性に迎合していて、100人のうち2、3人ではなく、やっぱり(議員の)半数近く女性がいないとどうしようもない。女性、子ども、老人、弱者を含めた人たちのための政治が行われず、意見が通らない。強者のための政治、男性のための政治になっていて、女性を含めた国民全体のための政治はなかなかできない」

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 田嶋氏はまた、女性議員を増やしていくには女性の割合をあらかじめ一定数に定める“クオーター制”を導入すべきだと強調した。一方、田嶋氏が議員活動をしていた約20年前と比べ、選択的夫婦別姓など国民のジェンダー意識は変わってきていると感じているという。

 「そのころ(約20年前)は、選択的夫婦別姓に賛成の人は四十数%だったが、今は70%を超えている。それなのにまだ議論しようという段階にいる。これは民法を変えることで、民法は国会でOKを出せば明日にも変えられる。民法を変えるためには選挙。とにかく国会で法律をつくるわけだから、民法をきちんと男女平等、人権を大事にしたものに変えないといけない」

 SNSなどが浸透し声をあげる手段が増えてきた中で、女性はどう変わっていくべきなのか。テレビ朝日田中萌アナウンサーの質問に田嶋氏は「“~すべき”という言い方はおかしい」と意見を述べる。

 「自分が問題を発見して、それにきちんと向き合っていくということではないか。人から言われて何かをするのではない。“~すべき”というのは女性は得意で、例えば『女らしくすべき』と言えば一生懸命女らしくするし、『女は○歳までに結婚すべき』と言えば一生懸命それに合わせようとする。それがダメで、一人の人間として自分はどう生きたいかを考える姿勢を身につけることが大事だと思う。女性の目的は恋愛することや結婚することしかない。結婚制度は女性にとって一番差別的な制度だが、それでも“○歳までに”と必死になって結婚しようとする。今は変わってきたが、そういうところから変えていかないと」

 これに対し、「私は今29歳だが、結婚はまだまだしたくない。子どもは欲しいので将来的には考えているが、私の周りにはまだ“男性に養ってもらう”と考えている人が多い。それが非常に悔しい」と声を詰まらせた田中アナ。田嶋氏は結婚と出産に対する考えを次のように述べた。

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 「戸籍は個人単位制になるべきだと思っている。今は夫婦でということになっているが、子どもを生むのに夫がいなくてもいいと思う。その代わり、シングルマザーになったことに対しては行政がきちんと対応して、子どもを国民が一緒になって育てていくという方向にいった方がいいと思う。子どもを生むために結婚するというのは、私個人としては不健全だと考える」

 田嶋氏が繰り返し訴えるのは、男女の差を取り上げずに個人がそれぞれ自由な生き方を選べること。

 「これまでの家父長制をやめるためには、“男らしくしろ”“女らしくしろ”といった社会規範を押し付けないことが一番大事。それを押し付けないと、自然とその人はその人らしく育っていく。男の特性、女の特性をつくらないで、それぞれが生きたい方向にいける平等な社会、田嶋陽子は田嶋陽子で生きられるような社会になっていけばいい」

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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