未だ収まらない新型コロナの感染拡大。8日、東京都では新たに545人の感染が、大阪府でも905人の新規感染者が確認されるなど、まだ収束の終わりは見えてこない。そんなコロナ禍で広がっているのが、ホテルのサブスクリプションだ。

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 観光客などの宿泊者の減少で空室を埋めたいホテル業界。そこに、レンタルやシェアを好むミレニアル世代の需要と供給がマッチした。帝国ホテル 東京では、広さ約30平方メートルの1室を30日36万円で利用できる「サービスアパートメント」の販売を開始。室内清掃・タオルの交換もあり、共同スペースにおける朝食用パンの提供、会議時にはミーティングルームの利用も可能だ。

ホテル「住むサブスク」拡大、掃除・朝食付きやテレワーク用も アフターコロナに“勝機”は?
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 三井不動産グループでは、対象ホテルを自由に選んで利用できる「HOTELどこでもバス」(※現在は受付終了)や、対象ホテルから1つを選び長期宿泊ができる「HOTELここだけパス」を展開。また、ホテルニューオータニでも、広さ約26平方メートルの1室を30日30万円で利用できる「デイユースサブスクリプション」を開始。高速インターネットの接続無料、気分のリフレッシュに最適な約1万坪の日本庭園もあり、日中のテレワークに特化している。

 コロナ禍で誕生したホテルの“住むサブスク”。この動きに建築家のサリー氏は「雇い止めが社会問題になっているように、需要がなくなったことで、これまでのマーケットを維持できなくなった業種がある」と指摘。厚生労働省によると、去年2月から4月7日までの間に新型コロナの影響で解雇や雇い止めとなった人は10万425人。このうち、非正規で働く人は2日の時点で4万6000人以上だった。

「例えば、ホテルの部屋が余る、従業員の雇用がなくなるなどの変化が旅行・観光業界で起きている。その余った部屋を仕事に利用する人や長期滞在者向けに提供する。新型コロナによって新しいイノベーションが生まれて、これまで成立しなかったビジネスが、成立するようになってきている」(以下、サリー楓氏)

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 フードデリバリーやテイクアウト、オンライン配信など、新型コロナによって、市場が大きくなった一部の業種。今回のホテルサブスクリプションのように、すでに持っている資産を生かす事業について、サリー氏は「新型コロナが収束した後、コロナの中で生まれた新たなビジネスが、どのように収束後の日常に取り入れられていくのか、非常に興味がある」と話す。

「コロナが収束した後もホテルに長期滞在したいという需要がどれくらい存在するのかは分からないが、固定したオフィスを持つのではなく、(ホテルを使った)オフィスアメニティのサブスクリプション化も十分考えられる。ホテルが持っている資産を供給するという点では、老人ホームを利用するほどではない軽度の介護レベルの方に、ケア設備や介護サービスを受けることができる場所として提供することもできる。シェアやサブスクリプションなどのようにミレニアル世代の感覚に縁がなかった人にもサービスを提供していくことで、アフターコロナでも勝機が見えると思う」

 新型コロナによって廃れていく市場もあれば、新しく生まれてくる市場もある。これからは所有する時代ではなく、シェアやサブスクリプションの価値を最大限利用する時代がやってきそうだ。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

【映像】新型コロナで誕生したホテル“住むサブスク”
【映像】新型コロナで誕生したホテル“住むサブスク”
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