長時間の対局が多い将棋の世界。1日10時間以上座りっぱなしということも珍しくなく、その姿勢を維持するだけでもかなりの重労働だ。正座かあぐらで盤面を見ることになるが、体型や年齢によっていろいろと負荷がかかり、場合によっては痛みも出る。それを軽減している(?)かもしれないのが、丸山忠久九段(50)のマッスルポーズだ。本人は「特に分析みたいなことはわからないんですが…」と語るが、改めてその効果を考えてもらった。
【動画】「将棋日本シリーズ」一回戦第一局 丸山忠久九段 対 広瀬章人八段
まず、マッスルポーズとは何か。対局中、正座から右手で大きな扇子をつかみ、左の太ももに突き立てる。その先端に左のひじを乗せ、力こぶでも出すように折り曲げる。さらに左手の甲に自分の頬を乗せて完成だ。対局場には脇息があり、ここに体重をかけることもできるが、それでは高さが足りないのか、丸山九段はこの姿勢を頻繁に用いている。
放送対局ではカメラが真横からの視点になっていることが多いが、この時に丸山九段の曲げた腕が絵文字にも出てくるガッツポーズのような形であり、さらにもともと上腕二頭筋が太いことから「マッスルポーズ」と呼ばれてもいる。

扇子の先から頬杖となる手の甲までが一直線になるこの姿勢、本人はどう思っているのか。「特に意識してやっていないんですが」と、自然に取り始めたポーズだったが、考えてみると「たぶん背筋をピンと伸ばす時の補強みたいなことなのかなと。脊柱起立筋の補強じゃないですかね」と、将棋の話ではまず出てこないだろう筋肉の名称が出てきた。
正座であっても、あぐらであっても、盤を見るには視点が下がり、どうしても背筋は丸くなる。長時間猫背になれば、背中、腰、肩、首などに負担がかかるだろう。これをなるべくまっすぐにして、視線だけ下げるようにすることで、少しでも負担を減らす。これが自然と身についた理由だった。
3年ぶりに出場した将棋日本シリーズ JTプロ公式戦では、1回戦で広瀬章人八段(34)に千日手指し直しの末、惜しくも敗れたが22日には、藤井聡太王位・棋聖(18)と叡王戦の挑戦者決定トーナメント準決勝で対戦することが決まっている。「大変と楽しみ、両方ですね。最善を指そうという意欲みたいなものを、藤井さんにはすごく感じます」と印象を語った丸山九段。この対局でも、勝利へのマッスルポーズは見られるか。
(ABEMA/将棋チャンネルより)
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