米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平の勢いが止まらない。2日(日本時間3日)に行われたオリオールズとの試合に「2番・DH」で出場した大谷は、3回に29号ソロ、4回に2打席連続となる30号2ランを放ち、両リーグ最速の30号に到達。さらに2004年に松井秀喜氏(ヤンキース)が記録したシーズン31本の日本人最多本塁打記録にあと1本と迫った。ここまで81試合、シーズン折り返し地点での30本はシーズン60本超えの驚異的なペースだ。
この試合では、2打席連続弾もさることながら、大谷が最終回に見せた2度の盗塁(1度は味方の守備妨害で無効となり幻となったが、その後に再び二盗を成功)と、4番・ウォルシュが放ったライナー性のライト前ヒットで前進守備をものともせず、サヨナラのホームを踏んだ快足ぶりが際立った。最終回の走塁については、試合後に大谷自身もその価値について言及している。
HR量産の一方、2日の試合を中継したABEMAの視聴者ファンからは「ヒット(単打)はいつ打った?」という声、さらには「大谷の盗塁を見る機会が減って残念だ」という意見などが聞かれた。
そこで、大谷の打席を振り返ってみると、(言うまでもなく)驚異的な長打率が浮かび上がってきた。塁打を打数で割って出す長打率SLG(Slugging Average)については、「優秀」が.440、「非常に優秀」が.500とされるのに対して、ここ30試合では「.845」。それだけではない。最近15試合では「1.130」で、最近7試合に関しては「1.385」である。
7試合のヒットの内訳を振り返ってみると、11安打のうち7本の本塁打、2本の二塁打、1本の三塁打。唯一のヒット(単打)が、マドン監督が「かつて見たことない」とのコメントを残したことで話題になったレイズ本拠地で放ったキャットウォーク直撃の特大138メートル弾の後に見せたバントヒットであるから、まるでマンガのような世界である。
この結果を見ると「大谷の盗塁を見る機会が減って残念だ」という声が挙がるのも理解できなくはないが、昨日の激走サヨナラホームインのきっかけとなったのは四球である。四球については、ここ7試合で3つ(15試合では8四球、30試合では20四球)となっており、単に盗塁の機会が減っているわけでもない。
いずれにしても、打ってよし、走ってよし、投げてもよし…という規格外“リアル二刀流”の大谷翔平を見させてもらっていることで、知らぬ間にぜいたくな悩みまで生まれつつある。大谷は大活躍を見せた昨日の試合後のインタビューで、「前回の試合も今日も逆転劇だった。その原動力は?」と問われると「前回は僕が打たれてしまったので、皆が取り返してくれて。今日はなんとか自分が取り返したいなという気持ちでいきました」とチームメイトへの感謝を真っ先に口にした。さらにホームラン量産体制に入ったことについても聞かれた大谷は「ファンの方にすごく入ってもらって気分よく打席に入れた。ファンのおかげです」とファンへの感謝も。その屈託のない笑顔と人柄が、プレーだけではない、日米のファンやチームメイトを魅了する理由なのだろう。
3日(日本時間4日)に行われるオリオールズとの一戦で31本目の本塁打が飛び出すのか、快足発揮ぶりも含めて注目したい。(ABEMA『SPORTSチャンネル』)