「外国人だからというだけで、アパートを貸してもらえなかった」日本社会にも根強く残る、日常の中での差別観
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 サッカーのフランス代表でもあるFCバルセロナのグリーズマン選手とデンベレ選手による差別的発言問題。バルセロナのスポンサーでもある楽天の三木谷浩史会長が正式に抗議することを表明、さらにウイニングイレブンなどで知られるゲーム大手コナミがグリーズマン選手とのアンバサダー契約を解除することを発表。チームが謝罪する事態に追い込まれた。両選手もSNSで謝罪するとともに「差別の意図はなかった」と釈明した。

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 一方で、「入管とか外国人実習生とか、いろいろ問題も見えてきた」など、差別を受けている外国人が日本社会にもいることを忘れてはいけないとの指摘もある。

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 EXIT兼近大樹は「仲間内のノリだったとしても差別的な発言はダメだとは思うが、僕は日本人なので、2人の選手がどういう日々を送ってきて、どういう状況で、どういうニュアンスで言ったのかが分からない。彼らからすれば、今まで友達と話してきた、日常にありふれたことをただ出しただけなのかもしれない。だから正直言って、“差別してんじゃねえよ”って本気でブチ切れることもできない。それでも根拠のないことを無意識に言ってしまうことは、日本の若い子たちの間でもよくあること。やっぱり個人で見なきゃいけない」と話す。

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 4歳でカメルーンから日本に移住した漫画家の星野ルネさんは、カルチャーギャップや肌の色の違いで体験したことを描いてきた。至って明るい作風ではあるが、それは「この歳になったから、そう捉えられるようになってきたということ」と説明する。

 「作品としてはすごくポジティブに描いているが、若い頃にはすごく嫌な目に遭ったこともある。例えば夕暮れに、7~8人ぐらいに“あれ?あいつ、いなくなっちまったぞ。見えねえぞ、見えねえぞ”みたいに、僕の肌が黒いことをいじられた。僕は明るいキャラだし、みんなの中には“これぐらいは冗談の範囲だろう”と思っていたんだと思う。でも、僕は全然笑えなかった。フランス人のサッカー選手がしたことと同じようなことは世界中で起きているし、もちろん日本でも起きている。誰もが常に加害者にも被害者になるんだという自覚が必要だと思う」。

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 東京都とともに、漫画を通して外国人差別問題の啓発活動を行っている星野さん。容姿にまつわる差別以外にも、外国人だというだけで賃貸契約が結べないなどの不当な扱いに悩む人も少なくないという。

 「日本に住んでいる外国人の中では“あるあるネタ”みたいになってしまっているが、アパートを貸してもらえないというケースは、作品の参考にした東京都のアンケート調査でも上位に入っていた問題だ。あるいはアルバイトの面接で、見た目が外国人だから受け入れられないという話も聞いた。

 それでも、同じお店で外国人の人が働くようになっているのを見て、変わりつつあるとも思う。人間って、異質なものに対して何となく怖くなったり、不安になったりすることがある。それを自覚した上で、無意識にやってしまう行動が誰かの人生や生活に不利益をもたらしてしまう可能性があるということを学ぶことが大切だと思う」。

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 フリーアナウンサーの柴田阿弥は「差別意識だけでなく、“安牌で行きたい”っていう気持ちが混ざっていることも多いと思う。賃貸の話もそうだが、ちょっとでもトラブルが起きたら嫌だから、という意識から、絶対にいけないことなのに、人種や職業、性別、タトゥーの有無なので見てしまう。そこが難しいと思う」とコメント。ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「日本人は同じ村の人間同士は尊敬し合って親しみがあって調和しているんだけど、その外側は全てよそ者、つまり同じ共同体の中に入れば受け入れる、という感覚がある。多少の不快感や、未知ものに対する違和感も含め、“いろんな人がいるんだからいいじゃないか”っていう感覚を積み上げていくのが、多様性の本質だと思う。それなのに、みんな必ず仲良くしなきゃいけない、という勘違いもあると思う」と指摘した。

 星野さんは「大切な視点だ。確かに自分の物件で何か問題が起きたら責任を負わなきゃいけない大家さんに全てをかぶせるのは難しい。ただし、ここで考えなきゃいけないのが、“外国人”って、一体誰のことを指してんの?っていう話だ。

 例えば犯罪率が高い都道府県があったからといって、“そこの出身者だから不動産は貸しません”って言ったら、それはおかしい、となるだろう。外国人だって、出身国が違えば、文化もルーツもそれぞれ全く違う。中には、僕みたいにほとんど日本で育った人間もいる。それなのに、“日本人以外の70億人、全員アウト”みたいにしてしまっている。そこはマナーやルールを守って住める人であるかどうかを判断したり、ケアしてあげたりできるような仕組みを作っていかないといけない」と応じた。

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 作家の乙武洋匡氏は「その個人どうなのか、ということをフェイス・トゥ・フェイスで感じて見ていかないといけないのに、どうしてもこの人種ってこういう人たちだろうだろうとか、この宗教を信じている人ってこんな感じだろう、みたいなアンコンシャス・バイアス、つまり無意識の偏見がある。そして、この問題を突き詰めていくと、“見た目差別”に行き着くと思う。国籍は日本なのに、外国人と思われるような容姿だったり、海外にルーツがあるというだけの理由で“俺らとは違う”と考え、違う扱いをしようとしていることがあるはずだ」とコメント。

 星野氏は「日本は見た目が同一であるべきだ、ということが大きいと思う。それこそ、すごく不安そうにしてた人が、僕が話し出すと、その日本語を聞いて急に“なんや兄ちゃん、日本人やん”みたいな感じになることもある。つまり、話をしてみればやっていける人なんじゃないか、って思える可能性があるのに、最初から見た目のフィルターでブロックしてしまっているのが今の状況だ。日本人の境界線というものも広がってきていると思うし、何が日本人なのか、というのことも考えていかないといけない」と話した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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