将棋の藤井聡太王位(棋聖、18)が7月13、14日に行われたお~いお茶杯王位戦七番勝負第2局で豊島将之竜王(叡王、31)に102手で勝利した。対戦成績で大きく負け越し“天敵”ともなっていた豊島竜王に、序盤・中盤・終盤と押し込まれ続けたが、残り時間がわずかとなった最終盤で逆転。シリーズ初勝利を挙げ、防衛に向けて1勝1敗のタイに戻した。
大きな1勝だ。第1局では、両者持ち時間を1時間以上残すほどの完敗を喫していた藤井王位は、巻き返しを狙った第2局で、角換わり(早繰り銀)の最新形で渡り合ったが、1日目を終えたあたりから、徐々にリードを奪われた。2日目に入っても挽回のきっかけが見つからない苦しい時間が続いたが、一瞬の隙で逆転できるよう難解な局面を生み出し、チャンスを伺い続けた。するとこの粘りが通じたのか、最終盤での攻防でついに光が差し込み逆転。最後まで息を抜けない戦いが続いたが、再逆転を許すことなく勝ち切った。
対局後、藤井王位は「早繰り銀はあまり想定していなくて、手探りな感じでした。ちょっと序盤でちょっと手の組み合わせがまずかったかもしれません。攻め合いの形になっても駒が少ないので、形勢は苦しいと思っていました」と苦戦を振り返ると、シリーズ初勝利には「タイに戻すことができたので、第3局も気持ちを新たに戦いたいと思います」と、短く語った。
両者の戦いはまだまだ続く。王位戦七番勝負のほか、25日からは挑戦者として叡王戦五番勝負が始まり、合計“十二番勝負”になっている。また準決勝まで勝ち進んでいる竜王戦挑戦者決定トーナメントでも挑戦権を得られれば、さらに七番勝負が加わり“十九番勝負”にもなる。王位の防衛、さらに三冠、四冠と伸ばすために、豊島竜王は絶対に越えなくてはいけない壁。通算成績ではようやく2勝目(7敗)だ。来週21、22日に行われる第3局では、今度こそ序盤からリードを奪う将棋を指せるか。試練の夏は、まだこれからが本番だ。
(ABEMA/将棋チャンネルより)