若者の“サステナブル疲れ”に若新雄純氏「人間の尽きない欲望の持続可能性を考えるべき」
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 温暖化対策を経済成長の機会と捉え、SDGsの取り組みを推し進める政府。それに反応するように、企業も次々とサステナブルを意識した商品づくりや取り組みを打ち出すなど、持続可能な社会を目指した動きが加速している。

【映像】マウンティングも? 若者の“サステナ疲れ”

 一方で、より長く地球と向き合っていくZ世代は、大人たちが掲げる「サステナブル」に対して違和感を覚えることもあるようだ。

 「いろんなところで『サステナブル』『サステナブル』とキーワードが聞かれることに対して、少し疲弊感を感じているということを『サステナブル疲れ』と呼んでいる」

 こう話すのは、若者の消費行動を分析・マーケティングに活用するSEEDATAの牧島夢加氏。学校や就活で頻繁にSDGsに触れているZ世代ならではの捉え方を分析している。

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 「企業が『サステナブルな商品だよ』と世の中で売っていくのに対して、『それって本当にサステナブルだと思ってやっているのか』みたいな。もしかしたら『売り上げのためにある種コンセプトとしてやっているんじゃないか』とか、ちょっとしたマーケティングっぽさを感じてしまうことへの嫌悪感だったり。世の中全体的に、ある種“ブーム”みたいなかたちで『サステナブル』というキーワードが出てきてしまっていることに対して、『本質的ではないよね』『サステナブルってブームとして起きることではないんじゃないか』というところが、疲れを感じさせる原因につながっているんじゃないかと感じている」(同)

 サステナブル疲れは対企業だけではなく、身近な場面で友人に対しても感じるようだ。

 「SNS、例えばInstagramだったりとかで、『このサステナブル商品を買いました』みたいなことを発信する子がいて、私たちは『サステナブル・マウンティング』と呼んでいたりもする。ペットボトルを何気なく利用していると、『まだペットボトルなんて使っているの?』と聞かれる場合があったりりか、『サステナブルな商品をどれだけちゃんと買っているのか。そういう基準で購買行動を選んでいるのか』ということを見比べられるみたいなところがある」(同)

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 「サステナブル」を前面に出し、それに賛同しているとアピールすることが本質的な課題を解決することに繋がるのか。Z世代の間で広がる懐疑的な視線に対し、モノやサービスを販売する企業は、「サステナブル」の打ち出し方にも工夫が必要だという。

 このサステナブル疲れについて、慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は「本質が理解されないままファッション化されている」と指摘する。

 「最近はSDGsという言葉を学校でも扱うらしく、高校生、大学生とのワークショップとかでもよく出てくる。最終的に意味があることとして、ちゃんと実効性がある形でファッションとして根付いていくのはありだと思う。ただ今は、本当の意味で何が問題で、何が課題なのかが深堀りされないまま、理解されないままファッション化だけ進んでいるところはある。サステナブルは『持続可能』と日本語で訳されているが、結局何を持続可能させなきゃいけないのか。みんな『地球』とか、人間が生活している環境システムのことを持続可能なものにしていこうと言っているけど、考えなきゃいけないのは、環境とかよりも人間の尽きない欲望だと僕は思う。世界中の途上国や後進国も発展を続けて、みんなが今の日本人の平均くらいの暮らしをしよう思うと、環境のリソースが足りなくて壊れちゃう。だけどみんな豊かになりたい。この自分たちの終わりなき欲望をどうやって地球と折り合いをつけて持続可能なものにするかを考えるべきじゃないだろうか」

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 サステナブルの出発点は自分の外側ではなく内側にあり、生きていく中での正しい“罪の意識”を深堀りするべきだとする若新氏。その上で、今後の方向性についても「本質が何かを考えて学ぶ姿勢が必要だ」との見方を示した。

 「最近微妙だなと思うのは、喫茶店などでプラスチックストローを紙ストローにしたり、紙ストローすらなくして直接飲むとか、服を買いに行っても袋は有料ですとか、色々あるけれども、中には本質からズレていっているものは多いと思う。啓発していこうというのはわかるが、それを守っていないことが問題なのではなくて、それをやると本当にどれだけの効果があるのかという議論が大事。日本の場合は、プラスチックの焼却技術がものすごい進んでいてポイ捨ても少ないのので、プラスチックストローはそこまで問題じゃないと個人的には思っている。もちろん、少しでも環境に配慮するというのはいいことだと思うが、『プラスチックストロー頼んじゃってんの?』と白黒つけて、サステナブルじゃないやつって決めつけるんじゃなくて、そもそもどんな行為をするとどんな負荷がかかるのか、どんなことをすれば人間の欲望がある程度満たされつつ環境にもストレスが少ない世界になっていくかを、みんなで話し合って都度学ぶ姿勢のほうが必要なんじゃないだろうか」

(『ABEMAヒルズ』より)

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