対局と移動を繰り返す過密なスケジュールの中、いったいいつ、どこで研究をしているのか。そんな疑問が沸き起こる内容での快勝だった。8月30日に行われた竜王戦挑戦者決定三番勝負の第2局。藤井聡太王位・棋聖(19)が永瀬拓矢王座(28)に77手で勝利、シリーズ2連勝で豊島将之竜王(叡王、31)への挑戦を決めた。終局後、敗因について永瀬王座は「序盤で準備のない形になってしまったので、よくなかったのかなと思います」と語った。今の将棋界で最も研究熱心で「知らない戦型はない」とまで言われる永瀬王座から出た「準備のない形」という言葉の意味は、藤井王位・棋聖の引き出しの多さを物語ることになった。