アニメ開始時に流れるオープニング(OP)は、何回も繰り返し視聴されるものであるため、特に注力して制作される映像です。作画のクオリティはもちろん、絵コンテを監督が切ることも多く、演出にも力が入っています。

 そんなOPですが、決めのカットで、主人公やその仲間たちが左側を向いていることが多い印象はないでしょうか? これには映像の演出技法である「上手(かみて)」「下手(しもて)」の概念が関わっています。

 「上手」「下手」は舞台用語で、上手は観客から見た右側、下手は左側を指します。そして一般的に、上手には「主人公、善に属するもの、力あるもの」、下手には「敵、悪に属するもの、力劣るもの」を配置するという演出表現があります。

 これはアニメなどの映像作品にも踏襲されており、「上手から下手を向いている」つまり左側を向いている人物は主人公やその仲間、となることが多い傾向です(もちろん、構図上の問題でこのセオリーに属さない場合や、演出意図ではなく偶然というケースもあります)。この記事では、そんな「主人公が左を向く」演出技法がわかりやすいOPのアニメをいくつか紹介します。

目次

  • ■キングダム
  • ■鬼滅の刃
  • ■NARUTO -ナルト-
  • ■機動戦士ガンダムSEED
  • ■ウマ娘 プリティーダービー
  • ■マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝
  • ■精霊幻想記
  • 右側を向く主人公たちも
  • ■呪術廻戦
  • ■転生したらスライムだった件
  • ■コードギアス 反逆のルルーシュ

■キングダム

アニメのOPで、主人公たちが左を向いている理由とは?7作品での実例を紹介
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(C)原泰久/集英社・キングダム製作委員会

 第3シリーズOPですが、まず冒頭から主人公・信が左を向いて突撃するカットが描かれています。そしてラスト近辺、敵兵と切り結んだ後に信が左を向き、その視線の先へとカメラが移動、敵国の軍総司令・李牧が映ります。ほかにも、信の所属する秦の王・エイ政が戦場を右→左へ駆けていくなど、全般的に「主人公側:上手 敵側:下手」の構図が多い映像です。

<作品概要(第3シリーズ)>

紀元前中国の秦国。下僕出身の身ながら“天下の大将軍”を目指す信は、武功を重ね、千人の部下を抱える“千人将”となっていた。自ら率いる“飛信隊”に軍師・河了貂を迎え戦いに明け暮れていた信。そんな中、独自に各地の様子を探っていた、今は亡き大将軍・王騎の軍の軍長だった録嗚未、干央と再会した信は彼らから、趙国を中心に各国に不穏な動きがあると聞く。

それは秦国に未曽有の危機をもたらす大きな“嵐”の前触れであった。

『キングダム』第3シリーズ OP(2分5秒~)
『キングダム』第3シリーズ OP(2分5秒~)

■鬼滅の刃

 イントロの最後にロゴが出てくるタイミングで、左を向いた主人公・炭治郎のカットが止め画になって映っています。またラスト近辺では、刀を振り下ろした後に左向きの顔がアップに。そして最後は、左を向いた炭治郎が右に振り向く印象的なカットで終わります。ほかにも、敵側のキャラである無惨は、振り返った際には右を向いていたりという演出が見られます。

<作品概要>

時は大正、日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎は、ある日鬼に家族を皆殺しにされてしまう。さらに唯一生き残った妹の禰豆子は鬼に変貌してしまった。絶望的な現実に打ちのめされる炭治郎だったが、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、“鬼狩り”の道を進む決意をする。人と鬼とが織りなす哀しき兄妹の物語が、今、始まる――!

『鬼滅の刃』OP(57秒~)
『鬼滅の刃』OP(57秒~)

■NARUTO -ナルト-

 『NARUTO -ナルト-』からは、104話より使用された『青春狂騒曲』(サンボマスター)のOPを見ていきます。ラスト付近、二分割された画面の右に主人公のナルト、左にそのライバル・サスケが映されています。2人は中央(お互いの方)を振り向き、やがて画角はナルトだけのカットになり、最後に天を仰いで咆哮する――という流れです。この時のナルトは左側を向いています。

<作品概要>

『絶対、火影になってやるんだってばよ!!』木ノ葉の里の落ちこぼれ忍者、うずまきナルトの夢はいつか里一番の忍者「火影」の名を受け継ぐ事。その身に封印された尾獣「九尾の妖狐」ゆえに孤独な過去を背負ったナルトだが、サスケとサクラという仲間を得、上忍カカシ率いる第七班の一員として任務をスタートさせた!!

■機動戦士ガンダムSEED

 ロボットアニメでも、主人公機の決めカットが左向きで描かれることが多く、『ガンダム』シリーズでもいくつかその例が見られます。『機動戦士ガンダムSEED』1話から使用されている『INVOKE -インヴォーク-』(T.M.Revolution)をここでは紹介します。

 作品ロゴをバックにした冒頭カット、ラストの止め画のいずれでも、主人公機ストライクガンダムが左向きで映っています。またサビ部分の仲間が勢ぞろいするカットでも、主人公のキラをはじめほぼすべての人物が左を向いています。

<作品概要>

コズミック・イラ70。「血のバレンタイン」の悲劇によって、地球、プラント間の緊張は一気に本格的武力衝突へと発展した。戦局は疲弊したまま、既に11ヶ月が過ぎようとしていた。そんな中、敵同士になった少年たちの邂逅は、やがて彼らが進むべき未来を示し始める。福田己津央、平井久司らが挑む、新たなるガンダム。

■ウマ娘 プリティーダービー

 主人公・スペシャルウィークの左向きの横顔から正面へカメラが回り込み、左に向かって走るスペシャルウィークのシルエットがロゴデザインになるという出だしです。またラスト付近では左へ走っていくスペシャルウィーク&サイレンススズカとその横顔を見せています。

<作品概要>

これは異世界から受け継いだ輝かしい名前と競走能力を持つ“ウマ娘”が 遠い昔から人類と共存してきた世界の物語。田舎から都会のトレセン学園に転校してきたウマ娘・スペシャルウィークは、チームメイトたちと切磋琢磨しながら「日本一のウマ娘」の称号をかけて<トゥインクル・シリーズ>での勝利をめざす!

『ウマ娘 プリティーダービー』OP(1分47秒~)
『ウマ娘 プリティーダービー』OP(1分47秒~)

■マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝

アニメのOPで、主人公たちが左を向いている理由とは?7作品での実例を紹介
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 『2nd SEASON -覚醒前夜-』OPでの描写を見ていきましょう。サビパートに入ったところで、落ちる瓦礫の上を左方向に飛んでいく主人公・いろはの映像が流れます。その後いろはを助けに来る右側から画角に入る黒江、攻撃時に左を向くいろは、桜舞う道を左へ走るいろはなど、左方向への演出が見られます。

<作品概要(2nd SEASON -覚醒前夜-)>

願いの成就とひきかえに、人知れず戦い続ける魔法少女たち。しかし環いろはは、自分の願いを忘れてしまっていた。『魔法少女になった時、私は何を願ったんだっけ?』日常の中にぽっかりと空いた穴。失われてしまった大切ななにか。理由もわからないまま、戦いつづける毎日……。そんなとき、魔法少女たちの間で噂が流れはじめる。『神浜に行けば、魔法少女は救われる』魔法少女とウワサの集まる街、神浜市。失われた願いを求める、環いろはの物語がはじまる――。

『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON -覚醒前夜-』OP(1分49秒~)
『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON -覚醒前夜-』OP(1分49秒~)

■精霊幻想記

アニメのOPで、主人公たちが左を向いている理由とは?7作品での実例を紹介
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 OP中のバトルシーンで、主人公のリオは右側に位置しています。また最後にキャラたちのイメージが集合するシーンでは、リオは左側を向いて立っています。最後にリオが登場する流れのためか、リオの立ち位置自体は左端です。

<作品概要>

前世と現世が交錯――二つの記憶を持つ少年が運命に立ち向かう!! 幼い頃、母を殺され孤児となったリオはスラム街で必死に生きていた。ある日、幼馴染との再会を夢見て事故死した《天川春人の記憶》と《強大な魔力》がリオの中で覚醒し、剣と魔法の異世界に転生していたのだと気づく。さらに、偶然出くわした王女誘拐事件の解決に貢献したことで、貴族の子女が集う名門学院に入学することに……。階級社会の最底辺から這い上がるリオは、出会いと別れを重ねながら過酷な運命を打ち砕いてゆく。

右側を向く主人公たちも

 ここまでは「左側を向く主人公たち」を挙げてきましたが、OPで主人公が右を向くアニメも存在します。右を向くのは敵側の暗示であるほかに、「抵抗する」「過去を向いている」「悲壮な感情」なども表現されると言われています。演出意図であったり、もしくは単に構図の関係であったりなど、理由は作品によりますが、主人公が右を向いているアニメもご紹介します。

■呪術廻戦

アニメのOPで、主人公たちが左を向いている理由とは?7作品での実例を紹介
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(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

 ご紹介するのは、1期1話から使用されている「廻廻奇譚」(Eve)のOP映像です。サビ終盤で主人公・虎杖は両面宿儺と対峙していますが、この時虎杖の立ち位置は左側で、顔がアップになるカットでも右を向いています。またその後の電車内のシーンでも、右を向いている虎杖が描かれています。

<作品概要>

少年は戦う――「正しい死」を求めて。辛酸・後悔・恥辱。人間が生む負の感情は呪いと化し日常に潜む。呪いは世に蔓延る禍源であり、最悪の場合、人間を死へと導く。そして、呪いは呪いでしか祓えない。驚異的な身体能力を持つ、少年・虎杖悠仁はごく普通の高校生活を送っていたが、ある日“呪い”に襲われた学友を救うため、特級呪物“両面宿儺の指”を喰らい、己の魂に呪いを宿してしまう。呪いである“両面宿儺”と肉体を共有することとなった虎杖は、最強の呪術師である五条悟の案内で、対呪い専門機関である「東京都立呪術高等専門学校」へと編入することになり……。呪いを祓うべく呪いを宿した少年の後戻りのできない、壮絶な物語が廻りだす。

『呪術廻戦』OP(55秒~)
『呪術廻戦』OP(55秒~)

■転生したらスライムだった件

 『転スラ』からは第2期第2部のOPをご紹介します。サビ終わり近辺で、右に向かって歩く主人公・リムルの横顔が映し出されます。また冒頭でも、右方向に歩みを進めるリムルの姿が描かれています。

<作品概要(第2期)>

主人公リムルと、彼を慕い集った数多の魔物たちが築いた国<ジュラ・テンペスト連邦国>は、近隣国との協定、交易を経ることで、「人間と魔物が共に歩ける国」というやさしい理想を形にしつつあった。リムルの根底にあるのは人間だったスライム故の「人間への好意」……しかしこの世界には明確な「魔物への敵意」が存在していた。その理不尽な現実を突き付けられた時、リムルは選択する。「何を失いたくないのか」を――ファン待望の転生エンターテインメント、暴風の新章に突入!

『転生したらスライムだった件』第2期第2部 OP(2分35秒~)
『転生したらスライムだった件』第2期第2部 OP(2分35秒~)

■コードギアス 反逆のルルーシュ

 第1話から使用されている『COLORS』(FLOW)のOP映像をピックアップしました。最後のシーンで、右を向いている主人公・ルルーシュが仮面を外します。そしてそのまま目線をカメラ正面に向けるという、印象的なカットです。なおこのカットは第2クールや続編『R2』のOPでも使用されています。

<作品概要>

キミを守るために、世界を壊す

超大国ブリタニア帝国に占領された日本=エリア11。そこに生きる二人の少年、ルルーシュとスザク。「ギアス」の力を手に入れ、世界を壊そうとするルルーシュ。ナイトメアフレーム「ランスロット」を操り、世界に理想と真実を求めるスザク。二人の対照的な生き方は、やがて帝国を揺るがす大きなうねりとなっていく。

『コードギアス 反逆のルルーシュ』OP(1分50秒~)
『コードギアス 反逆のルルーシュ』OP(1分50秒~)
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