「持ち主に返したい…」着物に込められた“おばーと母の想い” 約70年以上の時を経て沖縄・読谷村の歴史資料館へ
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「水の呼吸、火の呼吸、雷の呼吸とかあるんだけど、おばー(おばあちゃん)はどういう呼吸をしてみたいですか?」

「深呼吸!」

 沖縄県に住むおばー(87歳)と孫の仲睦まじい動画に人気が集まっているTikTokアカウント「南の島のおばーと孫」。フォロワー数およそ33万人の人気TikTokerだ。

【映像】「持ち主に返したい…」着物に込められた“おばーと母の想い”

 元気な姿と可愛らしい発言の数々で異彩を放つおばーだが、ある日、おばーが孫に「話したいことがある」と打ち明ける動画が話題を集めている。

「持ち主に返したい…」着物に込められた“おばーと母の想い” 約70年以上の時を経て沖縄・読谷村の歴史資料館へ
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 おばーが手にする鮮やかな紫色の着物。これは戦後間もない頃、沖縄本島中部の読谷村から、おばーが住む国頭村に避難してきた人々が持っていたものだという。着物は食料と引き換えにおばーの母が受け取り、70年以上ずっと大切に保管されていた。

「この着物を見るたびに、読谷の人々の顔を思い出します。戦争中に苦しんで生活していたことを思い出しては『戦争は絶対二度とあってはいけない』と思う気持ちがあります。この着物を眺めながら、涙を流したこともあります。もし読谷の方がまだ元気でいるんだったら、ぜひこの着物とお会いしてほしいなと思います」

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 国頭村に避難してきた人々が生きるために手放した着物。おばーによると、着物の持ち主は「米3升とこの着物を交換してほしい」とおばーの母親に渡してきたという。おばーの母親が「着物はいいです」と断ると、持ち主は「いらない。とにかく大事にどうぞ扱ってください」と受け取らなかった。おばーの母親は「どうせ自分たちはもうこんな高級な着物を着ることはない」と、落ち着いた頃に着物を持ち主に返そうと思っていたという。譲り受けた着物について、動画を撮影した「おばーの孫」がこう明かす。

「ひいおばあちゃんが亡くなったとき、遺品や身の回りのものを整理していた際に『これは昔お母さんが大事にしていたものだから、私も大事にしなきゃ』と言っていました。(着物の)サイズは少し小さめで、成人が着るサイズではない感じがしました。身の丈は10歳ぐらいの子供ですかね。色は紫色で、特徴としてきれいな刺しゅうがありました。避難してきた方に(ひいおばあちゃんが)無償で食料を分けていたという話もあって、その中で『何か感謝しなければ』と言って着物を渡してきたと聞いています」

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 「着物の持ち主を探したい」と訴えるおばーの姿がSNSで拡散されたことで、孫にはさまざまな情報が寄せられた。しかし、当時の持ち主は既に亡くなっている可能性があり、「一緒にいた小さな子供たちも覚えていないのではないか」と孫は話す。

 それでも、おばーとおばーの母の思いを未来に繋ぐため、着物の持ち主が元々暮らしていた読谷村の歴史資料館へ着物を寄贈。たとえ持ち主が見つからなくても、着物に詰まったさまざまな人の思いと一緒に、当時の現実を示す貴重な資料として残されていくことになった。

 着物の寄贈について、孫は「もしかしたら持ち主が見つかるかもしれないし、見つからないとしても、着物を見た人たちが昔あった悲惨な戦争について考えるきっかけになったらいいなと思います。これがおばーのお母さんの願いでもあると思う」とコメント。おばーは「大事な着物を見てみんなが協力してくださって、このような状況になったこと、本当にありがとうございます。嬉しいです」と両手を合わせて感謝を述べた。(『ABEMAヒルズ』より)

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