CBでもSBでも起用できる
アジア最終予選では板倉滉が台頭し、若手が存在感を示し始めている日本代表の最終ライン。吉田麻也、酒井宏樹、長友佑都らベテランに代われるヤング・タレントは多く、今回代表初招集となったDF伊藤洋輝には大きな期待が寄せられることになる。
ジュビロ磐田でキャリアをスタートさせ、今夏の移籍市場でドイツに渡った伊藤。当初はシュツットガルトのBチームで試される予定だったが、思いのほか早くチームにフィットし、今ではトップチームで起用されている。4バックのセンターバックや3バックの左、左ウイングバックなど起用法は様々であり、シュツットガルトで新境地を開拓している。
日本代表では左のセンターバックとしての起用が予想される。今回のセンターバック陣では唯一の左利きであり、後方からのビルドアップを活性化させることができる。そのポジションは吉田麻也が不動の地位を築いているが、所属クラブであるサンプドリアではプレイタイムが減っており、6月の計4試合の親善試合で伊藤が左に入ることはあるはずだ。
そこでの相方は板倉となるか。シャルケでは絶好調の守備者であり、攻撃面ではビルドアップ、守備面では強度の高さをチームに提供することができる。伊藤は23歳、板倉は25歳と平均年齢24歳のヤングコンビ結成も考えられる。候補には冨安健洋も入るが、怪我の状態が心配だ。今回は招集されているが、起用されない可能性は十分にある。
まずはセンターバックで試すことになるが、伊藤のユーティリティ性をテストしないのは非常に勿体ない。例えば左サイドバックでの起用だ。現状では長友佑都、中山雄太の2人が選ばれているが、どちらも絶対的な地位は築けていない。長友は守備、中山は攻撃に強みのある選手だが、アジア最終予選では安定感を見せられなかった。
伊藤は188cmの高さに加え、スピードのある選手だ。左足からの放たれるパスは効果的で、攻撃を活性化させることができる。ドリブルで持ち上がることも可能で、守備的な左SBとして一つのオプションになる。ワールドカップ本大会では押し込まれることが予想されるため、跳ね返すことのできる伊藤がSBの候補に入ってもおかしくない。
待望の招集となった伊藤。センターバック、サイドと多様性を持った選手であり、6月2日のパラグアイ戦から始まる4連戦での活躍に期待だ。