【識者コラム】攻撃陣は2026年W杯でも活躍が見込める

 毎回ワールドカップ(W杯)が終わるごとに、代表監督には突きつけられる課題がある。それは世代交代をどうするかということだ。

 2018年、2022年の両W杯のメンバー入りしたのは川島永嗣(ストラスブール)、長友佑都(FC東京)、遠藤航(シュツットガルト)、柴崎岳(レガネス)、酒井宏樹(浦和レッズ)、吉田麻也(シャルケ)のわずか6人だったことを考えると、多くの選手の入れ替わりが考えられる。

 2018年ロシアW杯の時は、2010年南アフリカW杯で主力に躍り出た選手たちが中心となった。そのため年齢層は高めで、平均年齢28.3歳は出場チームの中でも6番目タイだった。

 ロシアからカタールに向けてここからどう次のチームを作ってきたか。

 ベテラン勢を多用するとチームは落ち着いた戦いを見せることができるが、次のW杯本番まで持つかどうかという不安は残る。一方で急に年齢層を引き下げると、出場機会が少なかった選手たちに経験の場を与えることはできるが戦いは不安定になる。

 それでも森保一監督は思いきって平均年齢を引き下げた。初陣に招集したメンバーのうち、30歳以上は4人、平均25.3歳だったのだ。そして2022年カタールW杯の日本代表は27.8歳で全体の25位タイ。最初から若手を招集して経験を積ませたことがカタールにつながったとも言えるだろう。

 今回も年齢層を引き下げていくことになるだろうが、その前提として若い選手が十分期待できるだけの働きを見せることが必要だ。次回2026年のW杯に向けては、今回の平均年齢を基に考えると、現時点で25歳以下の選手が台頭しならなければならない。

 攻撃陣については次の大会での期待が持てそうだ。カタール大会時点で25歳以下だった堂安律(フライブルク)、三笘薫(ブライトン)、久保建英(レアル・ソシエダ)、田中碧(デュッセルドルフ)、町野修斗(湘南ベルマーレ)、上田綺世(セルクル・ブルージュ)、相馬勇紀(名古屋グランパス)、前田大然(セルティック)、伊藤洋輝(シュツットガルト)という9人は、十分に2026年大会での活躍も見込めるだろう。

最終ライン&守護神は入れ替えが濃厚

 もっともロシア大会の時に25歳以下だった植田直通、昌子源(ともに鹿島アントラーズ)、遠藤、武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)、大島僚太(川崎フロンターレ)、中村航輔(ポルティモネンセ)のうち、カタール大会のメンバー入りしたのは1人だけということを考えると、現時点での若さが将来の保証になっていないことは明らかだ。それでも現時点でW杯メンバーだった選手が多いのは好材料と言える。

 一方で、川島と長友を除くと2018年大会時点で30歳を超えていた選手は残っていない。そう考えると、まずはGKを除いてカタール大会で30歳以上の選手のポジションは早急に選手を育成する必要がある。

 つまり谷口彰悟(川崎フロンターレ)、長友、柴崎、酒井宏、吉田については急いで次の選手を見つけなければいけないのだ。そしてこの5人のうち4人は守備ライン。森保ジャパンを支えた守備力を今後の日本代表は再構築しなければならない。

 板倉滉(ボルシアMG)が25歳、冨安健洋(アーセナル)が24歳ということで次のW杯も十分に主力としては計算できる。だが今回のW杯でも明らかになったように、レギュラーと目される選手だけでは大会を勝ち残れない。板倉、冨安と同程度の力を持つ選手がここから4年で台頭しなければならない。

 また、この4年間で日本が解決できなかった問題に両サイドバックがある。長友、酒井宏を超えられるパフォーマンスを発揮できる選手が台頭しなければ、日本は攻守両面において厳しくなる。

 それでは候補選手は誰か。森保一監督が招集した選手から考えてみる。冨安と伊藤洋を除くと、板倉より若い選手はこういうリストになる。

渡辺 剛/1997.02.05(コルトレイク)
中山雄太/1997.02.16(ハダースフィールド・タウン)
岩田智樹/1997.04.07(横浜F・マリノス)
大南拓磨/1997.12.13(川崎フロンターレ)
立田悠悟/1998.06.21(柏レイソル)
原 輝綺/1998.07.30(清水エスパルス)
杉岡大暉/1998.09.08(湘南ベルマーレ)
菅 大輝/1998.09.10(北海道コンサドーレ札幌)
古賀太陽/1998.10.28(柏レイソル)
橋岡大樹/1999.05.17(シント=トロイデン)
瀬古歩夢/2000.06.07(グラスホッパー)
菅原由勢/2000.06.28(AZアルクマール)
西尾隆矢/2001.05.16(セレッソ大阪)

U-21日本代表以下の若手にも期待

 また最新のU-21日本代表のDFの代表入りも考えられるだろう。

木村誠二/2001.08.24(FC東京)
加藤 聖/2001.09.16(V・ファーレン長崎)
バングーナガンデ佳史扶/2001.05.16(FC東京)
馬場晴也/2001.09.24(北海道コンサドーレ札幌)
半田 陸/2002.01.01(モンテディオ山形)
畑 大雅/2002.01.20(湘南ベルマーレ)
鈴木海音/2002.08.25(栃木SC)

 新型コロナウイルスの影響で、ドーハのトレーニングパートナーとして参加できなかったU-19日本代表には4人のDFがいた。

中野伸哉/2003.08.17(サガン鳥栖)
松田隼風/2003.10.02(水戸ホーリーホック)
田中隼人/2003.11.01(柏レイソル)
高井幸大/2004.09.04(川崎フロンターレ)

 さらに1月に招集されたトレーニングパートナーに高校生だったこの選手もいた。

チェイス・アンリ/2004.03.24(シュツットガルト)

 この25人のうち海外組は6人、国内組は柏3人、札幌・FC東京・川崎・湘南が2人、横浜FM・清水・C大阪・鳥栖・山形・栃木・水戸・長崎が1人。この選手たちの成長なくして日本の躍進はない。来年最も活躍が期待される選手たちと言ってもいいだろう。

 それにしても、一番待たれるのが「DFの活躍」というのは、これからの日本代表の4年間も「耐えられることの素晴らしさ」を楽しみに見るという、なかなかストレスの溜まるゲームが増えてきそうな……。

2018年ロシアW杯&22年カタールW杯日本代表メンバー

【2018年ロシアW杯メンバー】
1:川島永嗣(35歳)
2:植田直通(23歳)
3:昌子 源(25歳)
4:本田圭佑(32歳)
5:長友佑都(31歳)
6:遠藤 航(25歳)
7:柴崎 岳(26歳)
8:原口元気(27歳)
9:岡崎慎司(32歳)
10:香川真司(29歳)
11:宇佐美貴史(26歳)
12:東口順昭(32歳)
13:武藤嘉紀(25歳)
14:乾 貴士(30歳)
15:大迫勇也(28歳)
16:山口 蛍(27歳)
17:長谷部誠(34歳)
18:大島僚太(25歳)
19:酒井宏樹(28歳)
20:槙野智章(31歳)
21:酒井高徳(27歳)
22:吉田麻也(29歳)
23:中村航輔(23歳)

【2022年カタールW杯メンバー】
1」川島永嗣(39歳)
2:山根視来(28歳)
3:谷口彰悟(31歳)
4:板倉 滉(25歳)
5:長友佑都(36歳)
6:遠藤 航(29歳)
7:柴崎 岳(30歳)
8:堂安 律(24歳)
9:三笘 薫(25歳)
10:南野拓実(27歳)
11:久保建英(21歳)
12:権田修一(33歳)
13:守田英正(27歳)
14:伊東純也(29歳)
15:鎌田大地(26歳)
16:冨安健洋(24歳)
17:田中 碧(24歳)
18:浅野拓磨(28歳)
19:酒井宏樹(32歳)
20:町野修斗(23歳)
21:上田綺世(24歳)
22:吉田麻也(34歳)
23:シュミット・ダニエル(30歳)
24:相馬勇紀(25歳)
25:前田大然(25歳)
26:伊藤洋輝(23歳)(森雅史 / Masafumi Mori)