W杯では大一番に強いタイプの選手が求められる
選手によっては、クラブと代表でまったく別の顔を見せる者がいる。例えばドイツ代表なら、ミロスラフ・クローゼやルーカス・ポドルスキがそれに当てはまる。両者はクラブでも結果を残してきたが、どちらかといえば代表戦での印象が強い。
当時の世代ではドイツ代表に欠かせなかった点取り屋コンビで、代表では常に中心だった。ポドルスキはドイツ代表歴代3位となる49ゴール、クローゼはあのゲルト・ミュラー氏を抑えて歴代1位となる71ゴールを挙げており、ドイツ代表では長きにわたってエースだった。
今年のワールドカップ・カタール大会へ向けて英『GIVE ME SPORT』はそんな『クラブより代表戦の方が優れていた選手』と題した特集を組んでいるのだが、その中にクローゼ、ポドルスキ、ウェールズ代表のハル・ロブソン・カヌ、ガーナのアサモア・ギャン、イランのアリ・ダエイ、チリのエドゥアルド・バルガスらとともに、日本から本田圭佑の名前が入っている。
本田はVVVフェンロ、CSKAモスクワで印象的な活躍を披露してきたが、その後移籍したミランでは苦しい時間も過ごした。しかし、その間も代表では欠かせない中心選手だった。2010年の南アフリカ大会、2014年のブラジル大会、2018年のロシア大会と3大会続けてワールドカップでゴールを記録しており、歴代の日本代表選手の中では最もワールドカップで結果を残した選手と言っていい。
当時の日本にとって本田の勝負強さは特別で、苦しい時は本田に何とかしてほしいと願ったサポーターも少なくないはず。そのインパクトは世界的に評価されているのだ。
では、今年のカタール大会で日本を引っ張るリーダーは誰になるだろうか。2010年の南アフリカ大会当時の本田はまだ代表で絶対的な地位を築いていなかったが、どこかラッキーボーイ的なところがあった。あの大会から一気に代表の主役へと駆け上がっていったわけだが、今回のカタール大会でもそうしたラッキーボーイが欲しい。特に今回はグループステージでドイツ、スペインと同居しており、ラッキー要素抜きで勝ち切るのは難しいかもしれない。
前回のロシア大会から世代交代の波もあり、若い選手が続々と代表へ入ってきている。12年前の本田を思わせるインパクトを残すNewヒーロー誕生に期待したいところで、代表チームには当時の本田のように大一番でこそ力を発揮できる強靭なメンタルの持ち主が必要だ。