カタール・ワールドカップ(W杯)の欧州プレーオフに臨むウクライナ代表MFオレクサンドル・ジンチェンコが、母国の平和を改めて訴えた。『ESPN』が伝えている。
今年2月末のロシアによる軍事侵攻を受け、未だ戦禍に見舞われるウクライナ。一時すべてのフットボール活動を休止していた同国は、プレーオフに進出していたW杯欧州予選も開催延期としていたが、6月1日にグラスゴーでスコットランド代表との準決勝に臨む。そして、この一戦に勝利した場合、同5日にはウェールズ代表と本大会行きを懸けた決勝戦に臨むことになる。
その重要な一戦を前に公式会見に出席したマンチェスター・シティMFは、W杯本大会出場を熱望しながらも、ウクライナ国民が最も望んでいるものは一刻も早くこの戦争を終わらせることだと、改めて母国の平和を涙ながらに訴えた。
「ウクライナ人の願いは一つ。この戦争を止めることだ」
「僕は世界中の様々な国の人々と話し、ウクライナの子供たちとも話をしたけど、彼らはウクライナで何が起こっているのか、正しく理解できていない。彼らはただ戦争を止めたいだけなんだ。彼らには戦争を止めるという一つの夢がある」
「フットボール、このチームに関しては、僕らは自分たちの夢を持っている。ワールドカップに行きたいし、ウクライナの人たちにこの上ない感動を与えたいんだ。今この瞬間も、彼らはそれに値する」
「この感情を表現するのは、その場にいないと不可能だ。今、この国で起こっていることは、決して許されることではない。言葉では言い表せないほどだ」
「この侵略を完全に止め、勝利する必要がある。ウクライナは自由の国だからだ。ウクライナは決してあきらめない」
「だけど、僕が言いたいのは、多くの国がそのことを理解していないということだ。今日はウクライナだが、明日はあなたの国かもしれない。だから、僕らは団結し、侵略を完全に打ち負かす必要があるんだ」
最後に、国内リーグの中断によって国外でプレーする選手を除き、コンディション面や試合勘に不安を抱えるウクライナだが、ジンチェンコは母国で代表チームを応援するすべての国民のために全力を尽くすことを約束した。
「ウクライナ中が僕らを見ていると思う。そして、僕らはきっと応援してくれていることを実感できるはずだ。僕らは多くを語ることができるけど、フィールドですべてを証明する必要がある。国民を幸せにし、誇りに思わせるように努力するよ」