キリンチャレンジカップ2022が6月2日に行われ、日本代表がパラグアイ代表を4-1で下した。同試合にスタメンで出場したDF伊藤洋輝(シュトゥットガルト/ドイツ)が試合を振り返った。

 左サイドバックのポジションで先発出場を果たした伊藤は、23歳にして今日が嬉しい日本代表デビュー戦に。「周りの選手がボールをうまく預けてくれて、サポートしてくれたので、スムーズに入れてよかったです」と話しており、“いつも通り”の心持ちでピッチに立つことができたという。

 試合については「前半はかなりゲームを支配できたし、何度かいい攻撃参加から、薫君とのコンビネーションでチャンスを作れた」と自身のプレーを振り返りつつも、「もっともっとクオリティと、その回数を増やさないといけない」と改善点を口に。センターバックへとポジションを移した後半については、「ミスもしましたし、まずそこを反省しないといけない。センターバックなんでコミュニケーションをもっと取って、チームの完成度を高めると同時に、自分のチームの力になれるようにやっていきたい」と、失点に繋がったシーンを悔やんでいる。

 特に前半のパフォーマンスは秀逸だった。デビュー戦とは思えない安定感を保っていた背景には、「(三笘)薫くん、(吉田)麻也くん、(鎌田)大地くん、(遠藤)航くんもいいサポートをしてくれて、リラックスしてプレーできた」ことがあるという。序盤から左ウイングの三笘薫(ユニオン・サン・ジロワーズ/ベルギー)と良い連携を見せ、攻撃参加でも存在感を示した。三笘との関係性については「ドリブルで仕掛けられるので、それの邪魔をしないようにというか、効果的な関わり方ができるように」とコメント。「何度かクロスまでいけましたけど、タイミングや精度はまだまだだと思います」と、サイドバックとしてプレーする上での課題も明確にした。

 肝心の守備でも局所で“違い”を見せており、ブンデスリーガで鍛え上げられた対人能力を発揮しているように映った。それでも、伊藤は「もっと奪いきれるところがあったので。球際以外も前線の選手を動かしたり、奪いに行くところを共有してやっていきたい」と、この一戦でのパフォーマンスに満足している様子は見せていない。それでも自信の特徴であるフィードやデュエルは「1年間ドイツでやって、自信を持っている部分」と話していることから、今後注目して見ていきたい部分になるだろう。

 4得点を奪って快勝した日本代表において、ゴールショーの口火を切ったのは浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)だった。この先制ゴールは、伊藤のロングフィードが起点に。先制点の場面について、「僕はプレッシャーかけられたので、回避するためにじゃないですけど。拓磨くんが目に入って、低く蹴ろうとしたんですけど高くなってしまって」と率直な心境を告白。それでも、最終的にゴールに繋がったことから、「何とか収めてくれて、感謝したいです」と得点者を褒め称えた。

 いよいよ11月に迫った2022FIFAワールドカップカタール。伊藤は今日が日本代表デビュー戦ではあったものの、本大会行きが大きく期待されているメンバーの1人だ。メンバー生き残りをかけた“サバイバル”に向けて、「まだ厳しい戦いだと思っている」と本音を口にした伊藤は、自身の立場を明確に理解している。それでも、「チームと勝利にどう貢献していくかということを考えながらやっていきたい」と、今後のメンバー定着に向けて、静かに闘志を燃やした。

 伊藤にとって6月の日本代表シリーズは、森保一監督に自身をアピールする絶好の機会だ。パラグアイ代表との一戦を終えた日本代表は、6日に『国立競技場』でブラジル代表と、10日に『ノエビアスタジアム神戸』でガーナ代表と、14日に『パナソニックスタジアム吹田』でチリ代表またはチュニジア代表と対戦する。