攻撃陣より不安は守備陣
今年のワールドカップ・カタール大会へFWエデン・アザール、ロメル・ルカクは大丈夫なのか。ベルギー代表では、2大スターの状態が上がってくるかに注目が集まっていることだろう。
しかし、心配なのは攻撃面だけではない。なかなか世代交代が進まない最終ラインもワールドカップ本番への不安材料なのだ。
センターバックの2大巨頭と言えば、33歳のトビー・アルデルヴァイレルトと35歳のヤン・フェルトンゲンだ。過去に日本代表とも何度か顔を合わせているため、この2人は馴染み深い。そしてこの2人は今も代表に招集を受けている。
トッテナムで長くプレイしてきた2人だが、アルデルヴァイレルトは現在カタールのアル・ドゥハイル、フェルトンゲンはポルトガルの名門ベンフィカに移籍している。両者ともピークは過ぎた印象があり、それと同時に欧州5大リーグを離れている。本来ならば2人を追い越す若手センターバックの登場に期待したいところだが、まだ世代交代は進んでいない。
現在5大リーグでプレイするベルギー代表センターバック陣を見てみると、リヨンのジェイソン・デナイエル(26)、ウォルバーハンプトンのレアンデル・デンドンケル(27)、インテルからジェノアにレンタル移籍していた22歳のジーニョ・ファンフースデン、ヴォルフスブルクのセバスティアン・ボルナウ(23)ヘルタ・ベルリンのデドリック・ボヤタ(31)、ボローニャのアルトゥール・テアテ(22)といったところが挙げられるが、現段階でワールドクラスと呼べる選手はいないか。
ベルギーにとって今の黄金世代は特別で、代表歴代出場数ランキングは上位6人を現役選手が占めている。1位はフェルトンゲンで136試合、2位がMFアクセル・ヴィツェル(120試合)、3位アルデルヴァイレルト(118試合)、4位アザール(116試合)、5位ドリース・メルテンス(103試合)、6位ルカク(101試合)となっており、いずれもキャップ数は100を超える。ベルギー代表は2000年代後半より彼らの世代を中心に回ってきたのだ。そしてそれはまだ続いている。
GKティボー・クルトワも94試合で歴代8位に入っており、この世代が凄すぎて世代交代が進まない印象だ。今年のワールドカップでも見慣れたメンバーが顔を揃えるだろう。
ただ、最終ラインに関してはアルデルヴァイレルトとフェルトンゲンが半年後にどこまで状態を維持出来ているか未知数なところもある。今季レアル・マドリードではクルトワが大活躍だったが、このままではワールドカップでもクルトワの神セーブ連発に頼ることになるかもしれない。
4年前は精神的支柱でもあったヴァンサン・コンパニもいたが、コンパニはもう現役を離れている。4年前のロシア大会では日本もベルギーから2ゴール奪ったが、あの頃より守備力が低下していると見ることもできる。黄金世代の一部メンバーにとっては最後のワールドカップになる可能性もあるが、ベルギーの守備陣はどこまで戦えるだろうか。