一時は解任目前とされていたモロッコ代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、何とか首が繋がった。だが、国民からの信頼は得られていないようだ。

 かつて日本代表を率いて2018年のロシア・ワールドカップ出場に導いたハリルホジッチは、しかしその後の試合で結果を残せず。選手とのコミュニケーション不足も指摘され、開幕の約2か月前に更迭された。

 モロッコでは、ヌサイル・マズラウィ(アヤックス)やハキム・ジイェフ(チェルシー)ら主力と衝突し、代表から追放。それでも、カタール・ワールドカップへの切符をもたらしたものの、スター選手を追い出したことでファンから非難され、解任を求める声があがった。

 こうした批判を受けて、モロッコ・サッカー連盟も後任を探していると取り沙汰されていたが、マズラウィと和解したこともあり、何とか続投を勝ち取った(ジイェフは代表引退を宣言したため復帰していない)。

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 そのモロッコ代表は6月2日、アメリカ代表と敵地シンシナティで強化試合を行ない、0-3で完敗を喫した。ハリルホジッチ監督の母国ボスニア・ヘルツェゴビナのメディア『tportal』によれば、試合中から69歳の指揮官に対する汚い誹謗中傷の言葉が飛び交い、「消え失せろ、消え失せろ!」というコールが響き渡ったという。

 さらに、試合後に引き上げるハリルを数人のファンが追い掛けたと記事は綴っている。

「試合後、何人かのファンがミックスゾーンに突入し、ハリルホジッチを追いかけ、公然と彼を侮辱した。ヴァハ(ハリルホジッチの愛称)はしばらくの間侮辱を受けた後、立ち止まり、反対派と対峙した。激しい口論となり、一触即発の危機に瀕したが、幸いなことに警備員が不満を抱いたモロッコのファンを追い出した」

 そして、その後の会見で、ハリルは彼らしい言い回しで、こうした非難に反論している。

「モロッコは、カタール・ワールドカップでプレーできて幸運だということを覚えておくべきだ。エジプト人、アルジェリア人の友人、コートジボワール人を見てほしい。彼らはみんな家にいる。あなた方は、カタールで代表チームを見られるんだ。他に、何かやるべきことが必要か?」

 また、ファンの反感を買ってしまいそうな発言だが、果たして…。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部