個で圧倒できるのはアジアまでだ

日本代表は6日にブラジル代表と対戦。終盤まで0-0と勝利の可能性を残したが、後半にPKを献上してしまい、最終的に0-1での敗戦となってしまった。

アジアのライバルである韓国代表に5-1と圧勝したブラジル代表に対し日本代表は0-1と食い下がることには成功した。計21本のシュートを打たれてしまったが、決定的な場面は作られておらず、PKさえなければ0-0のまま試合は終わっていた可能性は高い。この堅守は評価されるべきであり、ワールドカップ・カタール大会で戦うドイツ代表やスペイン代表を無失点で抑えられるかもしれないという希望は湧いた。

しかし攻撃面はどうだったか。計7本のシュートを打ったが、枠内シュートはゼロであり、アリソン・ベッカーが守るゴールを脅かすことはできなかった。

誤算だったのは伊東純也と三笘薫が完璧に封じられてしまったことだ。伊東は右ウイングで先発となったが、対峙するギリェルミ・アラーナに苦戦。得意のスピードを生かして突破するシーンはなく、抜かずにクロスを上げる場面が目立った。

終盤には三笘が左ウイングとして投入された。アジア最終予選、直近のパラグアイ戦では敵なしだった三笘だが、エデル・ミリトンを抜き去ることはできなかった。右サイドの伊東よりは期待感を感じさせるプレイはあったものの、終盤の三笘劇場はカタールでは見られないかもしれない。

このブラジル戦ではアジア最終予選で日本が攻撃の軸としてきた伊東と三笘が止められてしまった。今までは堅守で相手の攻撃を跳ね返し、前述した2人の個で白星を掴みとってきた森保ジャパンだが、ブラジルレベルの相手ではその作戦は通用しないことが証明されてしまった。

では、どこから点を奪うのか。ヒントとなったのは長友佑都のプレイだ。右サイドバックとして先発した長友は積極的に攻撃参加しており、前半36分のシーンではインナーラップから右サイドの高い位置に抜け出し、クロスを供給している。精度を欠きゴール前にボールを送ることはできなかったが、このブラジル戦で数少ない期待できる攻撃の場面だった。後半13分の場面でも右サイドの伊東、長友コンビで高い位置を取ってゴール前にクロスを放っている。残念ながらゴールとはならなかったが、ブラジルレベルの相手でもこちらが練度の高いコンビネーションを見せれば隙を作ることは可能であり、プレイの精度が高ければ相手ゴールに迫ることができる場面であった。

選手の個人のスピードやテクニックを11月までに急激に上げることはできないが、長友が見せたような工夫された連携からの攻撃は有効である。もちろんサイドバックが高い位置を取ることでのリスクもあるが、伊東と三笘の個での打開が通用しないのであればセットプレイ、もしくは相手を押し込んだ際の崩ししかない。

伊東と三笘の個以外での攻撃の軸を見つけたい日本代表。長友の積極的な攻撃参加はヒントの一つであり、カタール大会までにどれだけ攻撃にバリエーションを持たせられるかがカギとなりそうだ。