いよいよ11月1日に、森保ジャパンのカタール・ワールドカップ(W杯)メンバー26人が発表される。当落線上の選手は誰が生き残るのか、サプライズはあるのか。オーストラリアのアデレード出身で、現在はサッカーダイジェスト海外編集部員のスティーブン・トムソン記者が、その顔ぶれを予想した。

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 システムは、9月のドイツ遠征で採用した4-2―3―1がベースになるだろう。まずGKは、197センチのサイズと足下の技術が魅力で、9月のエクアドル戦でも好パフォーマンスを披露したシュミット・ダニエルと、W杯予選で正守護神を務め、最終ラインとの関係が良好な権田修一は当確。3人目は、経験を積むという観点からベテランの川島永嗣ではなく谷晃生を選んだ。

 最終ラインは、右から堅実な酒井宏樹、代表では不可欠な吉田麻也、プレミアでモハメド・サラーらのスターを抑え込んでいる冨安健洋、ブラジル戦とエクアドル戦でまだ最高レベルと渡り合う能力があると証明した長友佑都がレギュラーと予想した。
 
 バックアッパーは右SBに山根視来、CBに谷口彰悟と伊藤洋輝、左SBに中山雄太の4人。とりわけ中山は、ある程度ボールを握れるだろうコスタリカ戦では左SBの先発に推したい。長友よりもビルドアップ能力に長け、縦に行くだけでなくインサイドにも切り込めるからだ。また、故障中の板倉滉が間に合うようなら、もちろん入ってくるだろう。

 ダブルボランチは、遠藤航と守田英正がファーストチョイス。どちらもポゼッションができ、守→攻の切り替えも速い。このコンビなら、ドイツのヨシュア・キミッヒやスペインのセルヒオ・ブスケツらのMFとも十分に戦えるだろう。

 控えは、そのふたりよりも攻撃能力が高く、予選で活躍した田中碧は決まり。もう一枚は原口元気と柴崎岳を天秤にかけ、ウニオン・ベルリンでもクローザーとして使われる試合があり、運動量やタックルが特長の前者と予想した。後者は最近の代表では目立った活躍ができておらず、 エクアドル戦でもフィジカル勝負で劣勢だった。ただ、原口もクラブではプレー時間が限られているため、前述した板倉が入れば、「4人目のボランチ」としてカウントされるかもしれない。

 ボランチでの起用はないだろうが、これは予想というより願望で重要なパーツをひとり加えておきたい。セルティックで躍動する旗手怜央だ。4-3-3のインサイドハーフが主戦場のMFは、4-2―3―1へシステム変更したアメリカ戦とエクアドル戦では出番がなかったため、選出は厳しいかもしれない。ただ、左サイドハーフや左SBでも機能するし、何よりチャンピオンズリーグでレアル・マドリーのルカ・モドリッチやトニ・クロースと堂々と渡り合ったアグレッシブさやパワフルなショットは絶対に武器になる。旗手を選外とするなどありえない。
 
 2列目は、右は世界に通用するスピードを誇る伊東純也がレギュラーで、ゴールに絡む仕事ができる堂安律が控え。後者もスタメンでもおかしくない実力者だ。

 トップ下は、筆者が日本代表で最も期待している鎌田大地だ。今まさにキャリア最高の時を迎えており、ボールを収めて的確なパスを供給するだけでなく、自らゴールを決められる。彼こそが今大会のヒーロー候補だ。

 そのバックアッパーには南野拓実を選んだ。正直、モナコでのパフォーマンスを見る限り、落ちても仕方ないと考えているが、森保一監督は外さないと見ている。

 左は久保建英が先発で、三笘薫が切り札として控えるかたちが理想的だ。後半、疲れているところに、プレミアリーグの強者たちをきりきり舞いさせているドリブルスキルを誇る後者が投入されれば、どの国の守備者でも簡単ではないだろう。左サイドでは南野や旗手、次に触れる前田大然もプレーできる点も踏まえ、E-1選手権での活躍から一気にメンバー候補となった相馬勇紀は選外とした。
 
 最後にFWは、前田大然が1トップのスタメン候補で、古橋亨梧、大迫勇也、そして上田綺世をセレクトした。

 前田の先発を予想したのは、ドイツ戦、スペイン戦では押し込まれる展開となるため、そのプレスが活きると見たからだ。代表では結果を残せず、セルティックでもやや得点ペース落ちていた古橋は、ここにきてまた調子が上がってきた。この1年の活躍を見ても外すには値しない。

 大迫は森保監督の信頼が厚く、コンディションだけが問題だったが、最近は神戸で代表復帰に向け説得力のあるプレーを見せている。最後の一枚は、エクアドル戦の後半に印象に残るプレーを見せた上田綺世を選んだ。ボールを収められるし、動き出しも上手く、試合の流れを変えられる。また、プレッシングにも好感が持てた。

 日本は強敵を相手に前線から粘り強く守る必要がある。故障中の浅野拓磨はたとえ大会までに怪我が癒えても、コンディションが上がるかは別問題で、選外となると見た。また、E-1サッカー選手権で得点王となった町野修斗は、エクアドルに対してその能力を発揮できなかったため、メンバー入りは難しいだろう。 

文●スティーブン・トムソン

[プロフィール]
スティーブン・トムソン/1993年生まれ、オーストラリア・アデレード出身。アデレード大学を卒業後に来日し、上智大学で日本語を学ぶ。日本のスポーツと文化に精通し、今春からサッカーダイジェスト海外編集部員に。好きなサッカークラブはアデレード・ユナイテッド、リバプール、そしてガンバ大阪。


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