カタール・ワールドカップの日本代表メンバーが11月1日に発表される。登録26人に名を連ねるのは、いったい誰になるのか。日本代表として通算19試合・1得点を記録し、2010年の南アフリカ大会にも出場したFW矢野貴章(栃木)に、独自のベストメンバーを選出してもらった。
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ワールドカップは短期決戦なので、経験を重視しました。2010年の南アフリカ大会の実体験からしても、過去の他大会を見ても、軸の顔ぶれは大きくいじるべきではないと考えました。
エクアドル戦でPKを止めたシュミット・ダニエル選手の勝負強さは、ワールドカップの舞台では貴重で、ひとつのビッグプレーでチームに勢いをもたらす可能性はあります。それでも現守備陣と長く一緒にプレーしている権田修一選手の経験のほうが重要。ひとまず権田選手を正守護神としましたが、シュミット選手も先発を奪える力があり、GKのポジション争いは注目ですね。
最終ラインも手堅くいきたいので、酒井宏樹選手、吉田麻也選手、冨安健洋選手、長友佑都選手の鉄板メンバーに。連係を考慮すれば、これまでの起用傾向を踏襲するべきだと考えました。左SBでは中山雄太選手も良いですが、大一番で力を発揮できるのは、ブラジル戦でも見事なディフェンスを披露した長友選手ではないかなと。
谷口彰悟選手は安定感があり、ボランチにも適応できる板倉滉選手は怪我が治ると信じたい。旗手怜央選手はSBも、中盤もサイドハーフもできるユーティリティ。メンバーにいると助かる存在なので入れました。
アメリカ戦では遠藤航選手と守田英正選手のダブルボランチがハイパフォーマンスを見せましたね。サブの田中碧選手は攻撃センスがあり、相手にとって怖い存在です。
2列目はゴールもアシストもできる好調の鎌田大地選手を中央に、両サイドは推進力のある選手を置きたい。右はスピードがある伊東純也選手で、左はガンガン仕掛ける堂安律選手。三笘薫選手もドリブルが魅力ですが、途中出場のほうが効果的かもしれないですね。
南野拓実選手も切り札になるはず。今は不調気味で賛否両論はあるかもしれないですが、勝負強さはあると見ています。久保建英選手はドリブルやカットインからのシュートが上手いので、右サイドのジョーカーとして面白そう。
前田大然選手のプレッシングも興味深いですが、大迫勇也選手のポストプレーも絶対に必要。パスを呼び込むタイミング、敵への身体の当て方も絶妙で、懐も深いので、今もなおワールドカップの舞台でも通用するはずです。
上田綺世選手はクロスに対する入り方が上手い。身体も強いので世界を相手にも戦えるのではないかなと。裏への抜け出しが上手くて、シュートのパンチ力もある浅野拓磨選手は、負傷が心配ですが、復帰を待ちたいほどのポテンシャルがあります。
FWは優れたストライカーが揃っているので、スタメン選出は悩ましいですね。対戦相手に応じて、使い分けるのが得策でしょう。
2010年の南アフリカ大会の経験から言えるのは、ワールドカップを勝ち抜くには団結力が大事。当時は稲本潤一選手や川口能活選手、中村俊輔選手らベテランの支えがあって、チームが一丸となりました。現役日本代表で言えば川島永嗣選手や柴崎岳選手、原口元気選手が、現在の立ち位置を考えれば控えに回るかもしれないけど、縁の下の力持ちになるのではないでしょうか。
※本記事は2022年10月13日発売のサッカーダイジェスト本誌から転載。一部修正。
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