カタール・ワールドカップの日本代表メンバーが11月1日に発表される。登録26人に名を連ねるのは、いったい誰になるのか。日本代表として、W杯は2006年のドイツ大会、2010年の南アフリカ大会に出場した駒野友一(FC今治)に、独自のベストメンバーを選出してもらった。
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今大会は本番までの強化試合が残り1試合しかなく、戦術への適応やチームに馴染む時間が少ないためサプライズ選出は起こりにくいのではないか、という前提で選びました。
特に迷ったのは南野拓実選手と相馬勇紀選手。先の欧州遠征だけを見れば、好印象だったのは相馬選手。左サイドは久保建英選手、三笘薫選手が結果を出しているので枚数が揃っているとはいえ、相馬選手には調子の良さを感じたので最後まで悩みました。
南野選手は周りの選手とのズレがあり、孤立していたイメージです。ただ、前述したとおり今大会は準備期間が短いため、最終予選でチームの柱としてプレーし、戦い方を把握している南野選手の復調に期待します。彼には迷わず、楽しんでプレーしてほしいですね。
プレッシャーのかかるワールドカップでは、ベテランたちの支えも非常に重要です。GKで川島永嗣選手を選びましたが、僕が戦った2010年の南アフリカ大会は(川口)能活さんの存在がすごく大きかった。チームへの声掛けもそうですが、練習から100パーセントで臨む姿勢を見せてくれたおかげで、フィールドプレーヤーも含めて『このままではいけない』『常に前を向き続けなければ』と思わせてくれました。
鉄板のシュミット・ダニエル選手、権田修一選手に加えて、経験を積んで成長してもらうために谷晃生選手を選びたい気持ちもありましたが、川島選手に能活さんのような働きを望みたいです。
また、同じベテランでもピッチ上での躍動を続けているのが左SBの長友佑都選手。中山雄太選手や伊藤洋輝選手らライバルが現われましたが、今大会もスタメンの座は譲らないのではないかなと。
ブラジル戦やエクアドル戦など、敵が強ければ強いほど燃え上がり、素晴らしい力で相手を抑える反骨心は流石です。過去3大会を経験して身に付けた精神力といまだに衰えを見せない運動量で世界トップクラスのアタッカーたちをねじ伏せてほしいですね。
僕がプレーしている右SBの酒井宏樹選手と山根視来選手は、それぞれタイプが違うので場面によって使い分けたい。酒井選手はより守備の強度が高く、ライン際でのプレーを得意としています。本大会は欧州で活躍するようなドリブラーと対峙することもあるはずなので、基本は彼が先発になるでしょう。
山根選手はインサイドでもプレーできるため、攻撃に変化をつけたい時に入れたい。右サイドハーフに伊東純也選手、堂安律選手を選んでいますが、彼らとより上手く絡めるのは山根選手だと思います。特に左利きでカットインが得意な堂安選手とは相性が良さそう。豊富なアイデアで右サイドの攻撃を活性化させてくれるはずです。
ドイツ、スペインとのゲームは、守備の時間が長くなり、厳しい戦いになるでしょう。ただ、『絶対に負けられない』という重圧をより大きく感じるのは相手のほうだと思います。心理的な側面を生かし、前線から守備を行なえれば、チャンスは十分にあるはずです。引きすぎず、積極的にゴールを狙ってベスト16の壁を突破してほしいです!
※本記事は2022年10月13日発売のサッカーダイジェスト本誌から転載。一部修正。
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