FIFA(国際サッカー連盟)規律委員会は6月10日、チリの訴えを棄却し、エクアドルのカタール・ワールドカップ(W杯)出場を認めると発表した。
エクアドル代表は、主力としてカタールW杯の南米予選に8試合出場した23歳のDFバイロン・カスティージョに国籍偽装の疑いが浮上。チリ・サッカー協会がFIFAの規律委員会に異議申し立てをしていた。
一時は調査の結果、「クロ」とされ、カスティージョが出場した全8試合をエクアドルの黒星とした場合、南米予選7位だったチリがW杯出場圏内の4位に繰り上がり、カタール行きの切符を手にすると報じられたが、出場国が変更となることはなかった。
FIFAのホームページで発表されたリリースで、以下のように説明がなされている。
「FIFA規律委員会は、カタールW杯予選にエクアドル代表として8試合に出場した、バイロン・カスティージョ選手の潜在的な無資格に関する決定を下した。関係者全員の提出物を分析し、持ち込まれたすべての要素を考慮した結果、FIFA規律委員会はエクアドル・サッカー協会に対して開始された手続きを終了することを決定した」
同日に日本で、チュニジアとキリンカップサッカー2022で戦い、0-2で敗れたチリにとっては悲報となった。また、玉突きでわずかながらにW杯出場の可能性が出てきたと、欧州予選で敗退のイタリアでも盛り上がりを見せていただけに、同国メディア『Football Italia』は落胆。こう伝えている。
「FIFAがチリの申し立てを却下したため、エクアドルはW杯の出場権を維持し、イタリアへの門戸も完全に閉ざされた。(エクアドルが失格となった場合)理論的には、FIFAランキングで最も高い順位にある敗退チームが有利になるルールなので、イタリアが昇格していたはずだ。しかし、カスティージョが出場したすべての試合でエクアドルを敗戦にし、代わりにチリを南米の順位表の上位に押し上げるというのが、あり得る選択肢だっただろう」
なお、スペイン紙『MARCA』によれば、チリはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に上訴することができ、上訴した場合、CASは約1か月後に最終的な判決を下す。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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