完敗。その一言に尽きる。

 キリンカップサッカーの決勝で、日本はチュニジアと対戦。0-3で敗れてタイトル獲得はならなかった。

 チュニジアはフィジカルが強いし、チームとしても組織がしっかりしていた。立ち上がりは前から来ていたけど、途中から様子を見ながら、ブロックを組んで日本を迎え撃つ。

 そのあたりの試合運びが上手かったし、守備も固かった。日本は、アジアレベルなら引いた相手を崩せるけど、チュニジアはワールドカップに出場するだけの実力国で、そういう相手に日本はまだまだ手こずっていた印象だ。

 攻撃面で難しさがあるなら、セットプレーにチャンスを見出したいけど、「おっ」と思わせるようなシーンはほぼなかった。以前からセットプレーには課題があったけど、改善が急務だと思う。

 失点はいずれもミスから。1失点目のPKを与えたシーンでは、ボックス内に侵入してきた相手に対して、吉田がスライディングで倒してしまった。ただ、無理に止めようとしなくても、板倉のカバーが間に合っていたと思う。ある意味、単純なコミュニケーション不足だし、話し合えば解決できる。

 相手のロングボールへの対応で、吉田と板倉が見合う形で上手く処理できず、その流れから2失点目を食らった場面も同じ。次はないと思うし、個人的には守備に関してそこまで問題視していない。

 それよりも、無得点に終わった攻撃をどうするか。チャンスがなかったわけではない。前半に南野や鎌田が決定機をモノにできず、それを決めきることはもちろん大事なんだけど、フィニッシュに至るまでの過程で気になる点があった。
 
 日本はボールを握ることができていたし、最終ラインでも丁寧にパスをつないでいた。ただ、1トップの相手に対して、4バックの日本は、自陣の真ん中では数的優位になれる。そこで、CBの吉田や板倉が、もっと積極的に前に持ち運んでも良かったと思う。

 CBがドリブルで前に出ていけば相手の中盤をつり出せるし、そうなればインサイドハーフの鎌田や原口がパスを受けやすいシチュエーションになる。

 彼らに縦パスを入れて、相手の守備を中に絞らせれば、今度は外が空くから、ウイングの伊東や南野に展開して、サイドから素早く仕掛けることもできる。

 相手の陣形を動かして、スペースを作るためにも、CBがもっとアグレッシブにドリブルで前進してもよかった。とくに板倉はそういうプレーで良さを発揮できる選手のはずだから、ビルドアップの面でさらに存在感を出してほしいね。

 あとは、チュニジア戦ではアンカーの遠藤が狙われていて、遠藤を経由した組み立てが上手くいかなかったけど、これはワールドカップ本番でも想定される事態。やっぱり中盤には、たとえば気の利く田中のようなゲームメイカータイプがもうひとり必要なんじゃないかな。

 4試合が組まれた6月シリーズでは、4-3-3の中盤のセットはいろんな組み合わせが試された。最終予選では遠藤、守田、田中のトリオがメインだったけど、今回のテストを踏まえて、森保監督がどんな答えを導き出すかは注目だね。

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