カタール・ワールドカップで4試合を戦った森保ジャパン。数々の激闘を繰り広げた各選手はどんなパフォーマンスを見せたのか。ここでは26選手全員を5段階(S、AA、A、B、C※未出場の選手は「ー」)で評価した。
――◆――◆――
【GK】
■評価:―
1
Eiji KAWASHIMA
川島永嗣
・成績:0試合(先発0試合)・0失点
・所属クラブ:ストラスブール(フランス)
・生年月日:1983年3月20日(39歳)
・平均採点:-
過去3大会で正守護神を務めた39歳は、レギュラー取りを目指しつつ、シュミットともに権田をサポート。ひとりのプレーヤーとして背中で語りながら、必要とあらばチームに落ち着きをもたらした。大会後にはこのチームでもっと勝ちたかったという想いを吐露。
■評価:AA
12
Shuichi GONDA
権田修一
・成績:4試合(先発4試合)・4失点
・所属クラブ:清水エスパルス
・生年月日:1989年3月3日(33歳)
・平均採点:6.25
ドイツ戦ではPK献上も、その後は鬼気迫るセービングで相手の決定機を幾度となくストップ!! コスタリカ戦の失点シーンはシュートを上手く弾き出せなかったが、彼がいたからこその躍進だろう。クロアチア戦はPK戦で敗れたとはいえ、この試合でも好守を見せた。
■評価:―
23
Daniel SCHMIDT
シュミット・ダニエル
・成績:0試合(先発0試合)・0失点
・所属クラブ:シント=トロイデン(ベルギー)
・生年月日:1992年2月3日(30歳)
・平均採点:-
権田、川島と定位置を争いながら、GK3人組のひとりとして絆を深めた。一部で待望論が囁かれたように高身長とともに能力は確か。「ここにいられるだけで幸せだった」と語った初のワールドカップの空気を肌で感じ、今後どう進化するか楽しみだ。
【DF】
■評価:B
2
Miki YAMANE
山根視来
・成績:1試合(先発1試合)・0得点
・所属クラブ:川崎フロンターレ
・生年月日:1993年12月22日(28歳)
・平均採点:6.00
コスタリカ戦の前半45分をプレー。初のワールドカップのピッチでイエローカードを受けたものの、厳しく寄せて相手にプレッシャーをかけ続けた姿勢は印象的だった。本人曰く「準備の大切さを学んだ」とのこと。真骨頂の攻撃センスを発揮する場面も見たかったが、それはお預けに。
■評価:A
3
Shogo TANIGUCHI
谷口彰悟
・成績:2試合(先発2試合)・0得点
・所属クラブ:川崎フロンターレ
・生年月日:1991年7月15日(31歳)
・平均採点:6.50
31歳にして「最後のチャンス」として臨んだ今大会、スペイン戦で先発として念願の世界デビューを飾り、3バックの左で奮闘すると、クロアチア戦でもスタメン出場。Jリーガーでも通用することを証明した意味は非常に大きく、山あり谷ありだった彼のこれまでの歩みを振り返れば、その姿は感涙ものだった。
■評価:AA
4
Ko ITAKURA
板倉 滉
・成績:3試合(先発3試合)・0得点
・所属クラブ:ボルシアMG(ドイツ)
・生年月日:1997年1月27日(25歳)
・平均採点:6.33
世界的に評価を上げたひとりだろう。ピッチ外では持ち前の“滉スマイル”と高いコミュニケーション能力で周囲を明るくする元気印であるとともに、ピッチに立てば激しく、クレバーに相手の攻撃を跳ね返した。吉田らとのコンビネーションも日に日に向上。悔いたのは累積警告によってクロアチア戦に出場できなかったことだ。
■評価:A
5
Yuto NAGATOMO
長友佑都
・成績:4試合(先発4試合)・0得点
・所属クラブ:FC東京
・生年月日:1986年9月12日(36歳)
・平均採点:5.89
「ブラボー!!」「コラージョ!!」と叫びまくり、メディアの前ではポジティブ発言を連発。自らにプレッシャーをかけ、チームを盛り上げる様には頭が下がる。三笘とのバトンタッチが恒例となったが、先発としてピッチでも粘り強く、熱く戦い続けた。今後の去就は?
■評価:A
16
Takehiro TOMIYASU
冨安健洋
・成績:3試合(先発1試合)・0得点
・所属クラブ:アーセナル(イングランド)
・生年月日:1998年11月5日(24歳)
・平均採点:6.17
クラブ同様、怪我がちで出場機会が限られたのが残念。それでもグループリーグではドイツ戦とスペイン戦の後半に出場し、さすがのパフォーマンス。特に右ウイングバックとして相手を封じたスペイン戦では称賛の声を集めた。クロアチア戦は120分を戦い抜いたが、悔しそうな表情。
■評価:A
19
Hiroki SAKAI
酒井宏樹
・成績:2試合(先発1試合)・0得点
・所属クラブ:浦和レッズ
・生年月日:1990年4月12日(32歳)
・平均採点:6.00
先発したドイツ戦では後半にSBから右ウイングバックに移りチームの反撃にひと役買った。一方でその後は左太ももの負傷で別メニュー調整が続き、コスタリカ戦とスペイン戦は欠場。なんとか間に合ったクロアチア戦では気持ちの強さを示した。戦える“漢”だった。
■評価:AA
22
Maya YOSIDA
吉田麻也
・成績:4試合(先発4試合)・0得点
・所属クラブ:シャルケ(ドイツ)
・生年月日:1988年8月24日(34歳)
・平均採点:6.00
不可欠なリーダーは過去2大会の経験をもとにチームをコントロール。若手の意見を汲みながら時に周囲を叱咤激励。コスタリカ戦の失点につながった曖昧なパスは反省もゴール前で身体を張った。だがクロアチア戦では無念のPK失敗。翌日の涙を堪えながら取材に応じた姿が鮮明に残る。4年を懸けてきた男の覚悟がそこには見えた。
■評価:C
26
Hiroki ITO
伊藤洋輝
・成績:1試合(先発0試合)・0得点
・所属クラブ:シュツットガルト(ドイツ)
・生年月日:1999年5月12日(23歳)
・平均採点:5.50
コスタリカ戦の後半頭から3バックの一角として登場。攻めるのか守るのか難しい状況で、失点に絡んだプレーは課題として挙げられるだろう。それでも期待のレフティはこの壁を乗り越えて羽ばたいてくれるはずだ。
【W杯PHOTO】日本 1(1PK3)1 クロアチア|またしても初のW杯ベスト8進出には届かず...PK戦にもつれる激闘の末敗退。
【MF】
■評価:AA
6
Wataru ENDO
遠藤 航
・成績:4試合(先発3試合)・0得点
・所属クラブ:シュツットガルト(ドイツ)
・生年月日:1993年2月9日(29歳)
・平均採点:6.33
守備面に欠かせない存在で、何度倒れても相手へ挑み続ける姿は胸を打った。大会前の脳震盪の影響で調整が遅れ、恐怖心もあったはず。だが勇気で上回り、右膝痛を抱えたスペイン戦も緊急出場した。今後の日本代表の新リーダーを担うはず。
■評価:―
7
Gaku SHIBASAKI
柴崎 岳
・成績:0試合(先発0試合)・0得点
・所属クラブ:レガネス(スペイン)
・生年月日:1992年5月28日(30歳)
・平均採点:-
経験豊富なボランチはベンチから戦いを見守った。それでも常にチームの視点に立ったコメントを残したのは印象的で、目立たずとも仲間たちの背中を押したはず。その存在は貴重だったに違いない。
■評価:S
8
Ritsu DOAN
堂安 律
・成績:4試合(先発2試合)・2得点
・所属クラブ:フライブルク(ドイツ)
・生年月日:1998年6月16日(24歳)
・平均採点:6.50
負けん気の強さはチーム一。そのメンタリティが彼をヒーローに押し上げたのだろう。ドイツ戦、スペイン戦での劇的な同点弾でチームを救ったのは見事のひと言。先発を奪い返したクロアチア戦でも前田のゴールを演出してみせた。重ねた悔しさを本大会へぶつけた。ステップアップへの移籍の噂も挙がるなど人気はうなぎ上りだ。
■評価:S
9
Kaoru MITOMA
三笘 薫
・成績:4試合(先発0試合)・0得点
・所属クラブ:ブライトン(イングランド)
・生年月日:1997年5月20日(25歳)
・平均採点:6.13
発熱の影響で合流が遅れたが、周囲の不安など、どこ吹く風。左ウイングバックを主戦場にスーパーサブとして自慢のドリブルで相手を翻弄し続けた。スペイン戦でのライン際での折り返しは世界的な話題に。ただ、クロアチアとのPK戦ではGKにセーブされて涙。「チームを勝たせられる存在になる」と決意した。
■評価:C
10
Takumi MINAMINO
南野拓実
・成績:3試合(先発0試合)・0得点
・所属クラブ:モナコ(フランス)
・生年月日:1995年1月16日(27歳)
・平均採点:5.50
ドイツ戦では出場直後にシュート性のクロスで堂安の得点をお膳立て。一時の不調から脱したかに見えたがプレータイムは伸びず。日本の10番はチームのプラスになることを考え続けたが、クロアチア戦でも救世主にはなれず。そしてPK戦、一番手に立候補した勇気は称えたい。しかし、シュートはGKにセーブされ……。「4年後のワールドカップで絶対にリベンジしたいし、絶対にレベルアップしてこの場に帰ってきたい」。
■評価:B
11
Takefusa KUBO
久保建英
・成績:2試合(先発2試合)・0得点
・所属クラブ:レアル・ソシエダ(スペイン)
・生年月日:2001年6月4日(21歳)
・平均採点:5.50
システム変更などの煽りを受け、ドイツ戦とスペイン戦の前半のみの出場。守備にもよく走るなど動きは悪くなかっただけに、もっとプレーしたかったというのが本音だろう。明確な結果が欲しかった。クロアチア戦は残念ながら発熱の影響で欠場。彼がいれば試合展開はまた異なったものになっていたのかもしれない。
■評価:A
13
Hidemasa MORITA
守田英正
・成績:3試合(先発3試合)・0得点
・所属クラブ:スポルティング(ポルトガル)
・生年月日:1995年5月10日(27歳)
・平均採点:6.00
左ふくらはぎに違和感を抱きながら大会入りし、先発したコスタリカ戦では今一つの出来。それでもスペイン戦では攻守のつなぎ役として盟友の田中と中盤を支え、元世界王者を破る原動力になると、クロアチア戦ではこれぞ守田というパフォーマンス。しかし敗れた試合後には目を潤ませながら反省の弁。今後、日本の中盤でより欠かせない存在になりたい。
■評価:AA
14
Junya ITO
伊東純也
・成績:4試合(先発3試合)・0得点
・所属クラブ:スタッド・ランス(フランス)
・生年月日:1993年3月9日(29歳)
・平均採点:6.13
森保ジャパンが誇るスピードスターは右サイドハーフ、シャドー、右ウイングバックと複数のポジションに柔軟に対応し、チームの戦術の幅を広げた。献身的に守備をこなしながらチャンスと見るや一気に前へ。クロアチア戦では好クロスも供給。チームに推進力をもたらした。
■評価:B
15
Daichi KAMADA
鎌田大地
・成績:4試合(先発4試合)・0得点
・所属クラブ:フランクフルト(ドイツ)
・生年月日:1996年8月5日(26歳)
・平均採点:5.50
グループリーグ、そしてラウンド16と、4試合すべてに先発し、攻撃のキーマンを担った。守備の多くのタスクをこなしながらのプレーにリズムを崩した面もあったか、持ち前のボールコントロールが乱れるなど、どこからしくない振る舞いもあった。ただ走行距離はチームトップレベル。的確な動き出しは何度も見せていた。クロアチア戦はチャンスがあっただけに決め切りたかった。
■評価:A
17
Ao TANAKA
田中 碧
・成績:3試合(先発2試合)・1得点
・所属クラブ:デュッセルドルフ(ドイツ)
・生年月日:1998年9月10日(24歳)
・平均採点:6.17
先発した初戦のドイツ戦は及第点の出来だったが、スペイン戦で躍動。同点で迎えた51分にはボールが来るのを信じてゴール前に走り込み、三笘の折り返しを押し込んで決勝弾!! 中盤でも幅広く動き勝利の立役者になった。ただ延長戦の途中で出場したクロアチア戦のプレー時間は限られた。「バケモノになってここに戻ってきたい」と抱負。
■評価:B
24
Yuki SOMA
相馬勇紀
・成績:1試合(先発1試合)・0得点
・所属クラブ:名古屋グランパス
・生年月日:1997年2月27日(25歳)
・平均採点:5.50
自身も語っていたように、好調を維持したアタッカーはコスタリカ戦で先発としてワールドカップのピッチへ。夢の舞台でも得意の左サイドから果敢に仕掛ける姿には好感を持てた。ただ結果は残せず。枠を外したFKは「次こそは決めたい」と決意。ベンチでチームのために声を張り上げる姿も光った。
【FW】
■評価:A
18
Takuma ASANO
浅野拓磨
・成績:4試合(先発0試合)・1得点
・所属クラブ:ボーフム(ドイツ)
・生年月日:1994年11月10日(28歳)
・平均採点:6.00
ハイライトはなんと言ってもドイツ戦での決勝弾!! 大会約2か月前に右膝を負傷。不安を抱えていたという男の名手ノイアーを破る一撃に誰もが心震えたはず。カウンターの先導役としても機能した。一方で点が欲しかったクロアチア戦などでは沈黙。悔しさを露わにした。
■評価:-
20
Shuto MACHINO
町野修斗
・成績:0試合(先発0試合)・0得点
・所属クラブ:湘南ベルマーレ
・生年月日:1999年9月30日(23歳)
・平均採点:-
中山雄太の負傷を受け、26人目として追加招集でメンバー入りを果たす。ゴールへと迫るパワフルな姿は魅力で、チャンスこそ訪れなかったが、トレーニングでアピール。ランニングでは吉田、長友らに混じって先頭を走った姿も思い出深い。今後さらに成長スピードを速めるか。
■評価:C
21
Ayase UEDA
上田綺世
・成績:1試合(先発1試合)・0得点
・所属クラブ:サークル・ブルージュ(ベルギー)
・生年月日:1998年8月28日(24歳)
・平均採点:5.00
グループリーグ第2戦のコスタリカ戦でCFのスタメンを射止め、嬉しいワールドカップデビューを果たした。しかし、緊張もあったのか上手く周囲と絡めずハーフタイムで交代に。ストライカーとしての能力は誰もが認めるところだけに、悔しき一戦を忘れずに今後の糧としたい。
■評価:A
25
Daizen MAEDA
前田大然
・成績:3試合(先発3試合)・1得点
・所属クラブ:セルティック(スコットランド)
・生年月日:1997年10月20日(25歳)
・平均採点:6.00
前線からのプレッシング役としてボールを追いかけパスコースを限定。組織的な守備を機能させ、スペイン戦ではGKへの圧が得点へとつながった。一方でストライカーとしての働きを遂行できていない点を指摘する声もあったが、クロアチア戦では先制点をゲット!! 仕事をこなした。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト特派)