面白い選手たちばかりだ

6月に予定されていた4試合のテストゲームを終えた日本代表。今回のワールドカップ・カタール大会はシーズン中の11月に開催されるため、今後は本大会前にまとまって代表で集まる期間が9月の1回しかない。そこでは2試合のテストゲームが予定されており、終わればすぐに本番となる。そのため、6月に選ばれた選手から本戦のメンバーを選考するといえる。もちろん8月から始まる22-23シーズンで素晴らしい成績を残した選手がいればサプライズ選出の可能性はあるが、狭き門だといえる。

6月に招集されなかった選手でも素晴らしいプレイヤーはいる。例えば21-22シーズンをベルギーのシント・トロイデンで過ごしたFW原大智だ。191cmの長身が魅力的で、ベルギーではリーグで2番目となる133回の空中戦勝利数を記録している。それでいて足元の技術もあり、ポストプレイで時間を作ることができる。191cmは日本代表のストライカーであれば群を抜いて高く、前線のターゲットマンになれる。今回は招集外となったが持つポテンシャルは高く、カタール大会後には積極的に呼ばれるはずだ。

同じくストライカーであればフランス2部のトゥールーズでプレイしたオナイウ阿道の名前も挙がる。38試合で10ゴール2アシストを記録した選手で、海外初挑戦を見事成功させた。180cmと世界的に見れば高さはないが、空中戦が強い。滞空時間の長さと動き出しが魅力的であり、アジア最終予選でも招集されたが、継続して呼ばれることはなかった。

原、オナイウに共通するのは空中戦の強さだ。今の代表はサイドからのクロス攻撃が主な手段となっているが、呼ばれた4人のストライカーで最も大きいのは182cmの上田綺世だ。他の選手は170cm台であり、ターゲットになれない。そのため原は魅力的な戦力だといえるが、カタール行きは難しそうだ。

スイスのグラスホッパーでプレイする川辺駿は中盤での招集が期待された選手だ。前線への飛び出しからゴールを奪える選手であり、スイスでは7ゴールを奪った。得点面以外でも武器は多く、守備強度が高い。読みとフィジカルを生かしたタックルでボールを回収することができ、潰し屋としての一面も持っている。日本代表では原口元気と強みが被っているため招集外になったと予想されるが、海外初挑戦で7ゴールを決めるポテンシャルの高さは今の日本代表でも十分に通用するといえる。

21-22シーズンはポルトガルのポルティモネンセでプレイしていた中島翔哉は今の代表に必要な存在である。左サイドから仕掛けられるドリブルの切れ味は圧巻であり、そこからのチャンスメイクは彼の一つの形だ。一時はクラブでプレイできない時間が続いたが、ポルティモネンセでは出場機会を得ている。三笘薫と中島を左サイドで揃えられれば90分間脅威になり続けることは可能だ。

最終ラインでいえば横浜F・マリノスの小池龍太は面白い存在に成長している。右サイドバックの選手だが、左サイドでもプレイ可能な両サイドバックであり、攻守両面での強度の高さを持つ。とくに面白いのは攻撃面で、偽サイドバックの動きを見せるなどビルドアップでの貢献度が高い。ボックス外からミドルシュートを決める技術の高さも持っており、今後呼ばれるべき人材である。サイドバックは長友佑都や酒井宏樹、伊藤洋輝と戦力は十分に揃っているのかもしれないが、7月のE-1選手権で試す価値のあるプレイヤーだ。

フル代表に選ばれていなくとも日本には実力のあるプレイヤーがたくさんいる。チーム状況などタイミングによって選ばれないこともあるが、前述した5人はその中でも飛びぬけており、今後に期待だ。