イランの国営通信社『IRNA』は11日、イラン代表のドラガン・スコチッチ監督が解任されると発表した。2020年2月にマルク・ヴィルモッツ監督の跡を継いだそのクロアチア人指揮官は、初陣のウズベキスタン戦から無傷の10連勝を達成。カタール・ワールドカップ予選の突破に導くなど、18試合で15勝1分け2敗と抜群の成績を収めていた。
今年3月の韓国戦(アウェー)で初黒星を喫し、6月のアルジェリア戦で1-2というスコア以上の完敗と、ここにきてパフォーマンスが悪化していたのは確か。イラン史上初のグループリーグ突破を夢見るファンが、アルジェリア戦後に批判の声を強めていた事実もある。それでもイラン・サッカー連盟(FFIRI)は6月下旬、スコチッチ続投の意向を表明していた。
ではなぜ、急転直下の解任へと大きく舵を切ったのか。
イランメディア『タブナク・ニュース通信』によると、FFIRIの技術委員会は「技術的な問題」としている。一方で、スコチッチ監督と有力選手の関係悪化が決め手との見方も強い。
ニュースサイト『イラン・ワイアー』によれば、得点源のサルダル・アズムンとメハディ・タレミ、崩しのキーマンであるアリレザ・ジャハンバフシュ、攻守の橋渡し役となっているオミド・エブライミら中心選手が、スコチッチに反旗を翻していたようだ。同時に彼らが求めたのは、カルロス・ケイロス監督の復帰だという。
かつてJリーグでも辣腕を振るったアフシン・ゴドビなどスコチッチ支持者も存在したようだが、FFIRIはカタールW杯開幕まで残り約4か月というタイミングで大きな決断を下した格好だ。
数日以内に発表される見込みの後任候補には、02~06年にイラン代表を率いたブランコ・イバンコビッチ(現オマーン代表監督)、現役時代にスペインのオサスナなどで活躍したレジェンドのジャバド・ネクナム(現フーラド監督)、アミル・ガレノイー(現ゴル・ゴハール監督)らの名前が浮上している。
3大会連続6回目のW杯出場が決まっているイランは、カタールでイングランド、ウェールズ、アメリカの順に対戦する。同国史上初のグループリーグ突破に向け、今回の決断は吉と出るだろうか。
構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
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