EAFF E-1サッカー選手権決勝大会の最終戦が27日に行われ、サッカー日本代表と韓国代表が対戦する。

 日本代表の一員として戦っているMF橋本拳人は、大会開幕直前にヴィッセル神戸からスペイン2部のウエスカへ移籍すると発表された。しかし、すぐにスペインへ飛ばず、新たな所属クラブと話し合って了解を得た上で日本代表に残ることを志願した。

 一方、韓国代表にも橋本と同じ境遇の選手がいる。ウエスカに移籍が決まった橋本は、もともと今年3月まではロシア1部のロストフに在籍していた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻に端を発する混乱の中でFIFAがロシアのクラブとの契約を一時停止して別の国へ移籍することを認める特別措置を施行し、神戸への加入が決まった背景があった。

 韓国代表のMFファン・インボムも、橋本と同様ロシア1部のルビン・カザンに在籍していた。だが、今年2月中旬に練習試合でつま先を骨折し、治療のため韓国に帰国している最中にウクライナ侵攻が始まってしまう。そして4月上旬に、橋本と同じ特別措置を活用してFCソウルに期限付き移籍していた。

 もともとは短期間の期限付き移籍となる予定だったが、ウクライナ侵攻の状況が改善しない中でFIFAが特別措置の延長を決定。ファン・インボムも今月に入ってFCソウルとの契約を延長したばかりだったが、そこに欧州再挑戦のチャンスが舞い込んだ。

 韓国の複数メディアによると、ファン・インボムはギリシャの名門オリンピアコスへの完全移籍に近づいており、3年契約を締結する見通しだという。FCソウルも同選手の欧州挑戦の意思を尊重する方向だったことも、移籍を後押しした。

 E-1サッカー選手権に参加する韓国代表の一員として来日したファン・インボムは、20日に行われた初戦の中国代表戦に先発出場して3-0の勝利に貢献していた。だが、24日の香港代表戦はベンチ外となり欠場。

 すでにオリンピアコス移籍を完了させるため、韓国代表を離脱してギリシャへ飛んでいるという。現地で活動するゲオルギオス・シデリディス記者がギリシャの首都アテネでのファン・インボムを捉えた写真を自身のSNSに掲載している。

 E-1サッカー選手権前回大会の日韓戦で韓国代表を優勝に導く決勝ゴールを挙げたファン・インボムの不在は、27日の試合にも大きく影響しそう。海外組も含めたA代表でも主力を担うMFがいないことは、2013年以来の優勝を目指す日本代表にとっては朗報と言えるかもしれない。

 なお、当初の韓国代表には元ガンバ大阪のDFキム・ヨングォンも招集されていたが、胃腸炎の影響でコンディションが回復せず直前で辞退。Kリーグ2部のソウルイーランドFCに所属するDFイ・ジェイクが追加招集され、24日の香港代表戦で韓国代表デビューを飾った。