絶対の守護神は短期決戦の強みとなる
世界最高のGK論に出てくることはあまり多くないが、今年のワールドカップ・カタール大会出場を決めているスイス代表はGK大国と言っていい。
守護神はボルシアMG所属のヤン・ゾマーだ。今季もバイエルン戦で19本のセービングを記録したことが話題を呼んだが、日本代表DF板倉滉の背後でスーパーセーブを連発している。
スイスといえば昨夏のEURO2020にてベスト16でフランス代表をPK戦の末撃破し、ベスト8でもスペイン代表相手にPK戦まで持ち込むなど驚異の粘りが話題を呼んだが、あの大会でもゾマーは守護神として計21のセービングを記録していた。これは大会最多の数字である。
フランス戦ではFWキリアン・ムバッペのPKを弾き出し、スペイン戦ではMFロドリのPKを止めた。スイスはカタール大会でブラジル、セルビア、カメルーンと同居するが、ゾマーを中心としたスイスの堅守は侮れない。
また2番手には、24歳の若さでドルトムントの守護神を務めるグレゴール・コベルが控えている。コベルはゾマーの後継者であり、こちらも能力は高い。スイスのGK世代交代は問題なく進むだろう。
さらに現在はオーストリアの名門ザルツブルクの守護神を務める24歳のフィリップ・ケーンも売り出し中だ。2015年まではドイツの世代別代表を選んでいた選手だが、2016年からはスイスに変更。すでにA代表への招集も受けており、昨季はチャンピオンズリーグの戦いも8試合経験。今季もミランとのグループステージ初戦でゴールを守っており、今後のステップアップにも期待がかかる。
今年のカタール大会ではゾマーが守護神を務めるだろうが、きっちりと若手GKも育っているのは頼もしい。スイスの鉄の壁を攻略するのは容易ではなく、EURO2020に続いてワールドカップでも強豪を苦しめる存在となるかもしれない。