日本代表は9月23日、ドイツのデュッセルドルフ・アレーナで行われたキリンチャレンジカップ2022でアメリカ代表と対戦。2-0で勝利を収めた。
【映像】「僕は代表の問題児」鎌田大地の素顔
前半25分に先制点を挙げたのは、この日先発出場を飾ったMF鎌田大地(フランクフルト)。この得点以降、なかなか両者がゴールネットを揺らすことができなかった展開を踏まえても、貴重な1点だったと言えるだろう。ただ本人は試合後「今日は僕自身、すごく得点チャンスが多かった」とコメントするなど、複数点奪えなかったことへの悔しさもにじませた。
確かにこの試合、鎌田は立ち上がりからいくつかの決定機を迎えている。前半13分には久保建英(レアル・ソシエダ)が高い位置でボールを奪うと、鎌田はペナルティエリア中央へ走り込み、パスを受けると間もなくしてシュート。惜しくも相手GKマット・ターナー(アーセナル)のファインセーブに阻まれるが、得点の匂いを感じさせたシーンには違いない。先制点を奪う間際、前半23分にも、MF伊東純也(スタッド・ランス)がドリブルで中に切り込みながらゴール前にパスを放つと、鎌田は相手DFを背負いながら足を伸ばし、あと一歩でシュートというところまでこぎつけている。2022年FIFAワールドカップが目前に迫ることを考えると、鎌田が口にした未練も当然のことかもしれない。
思えば鎌田は、同世代の日本代表の中でもプロサッカー選手としてのキャリアが長い。1996年8月生まれの鎌田は、FW相馬勇紀(名古屋グランパス)やDF中山雄太(ハダースフィールドタウン)と同学年、MF三笘薫(ブライトン)やMF旗手怜央(セルティック)、FW前田大然(セルティック)も1つ違いの1997年生まれと近しい。しかしこの中で高卒からJリーグデビューを飾っているのは、鎌田以外に中山と前田のみ。さらに中山はデビュー初年度に柏レイソルで出場できた公式戦はわずか2試合、前田も松本山雅で10試合出場にとどまっている。ところが鎌田はどうだろう。東山高校を卒業後サガン鳥栖に加入した2015年から、リーグ戦だけで21試合に出場、3得点を挙げている。その後もコンスタントに出場し得点を重ねると、2017年のシーズン途中にはブンデスリーガ1部のフランクフルトへ移籍しているのだ。
これだけ見ると「順風満帆」という言葉が似合うプロサッカー人生かもしれない。ただ日本代表Aキャップに限ると、必ずしも「全てが順調」とは言い切れない節がある。2020-2021シーズン終了後、新天地への移籍が叶わなかった影響もあるのか、昨年の代表戦で見られたのはやや精彩を欠く鎌田。トップ下での起用も得点に結びつかず、気が付けば途中出場に甘んじるゲームもあった。
今回のように結果を残せたのは、森保監督が描く形が4-4-3から4-2-3-1とトップ下を置く布陣へ回帰したことも後押しししただろう。ただ、鎌田本人も苦しい時期を乗り越え、先発11人に名を連ねるだけの実力を見せたこともまた否定できない。この日、所属するフランクフルトと同じ背番号15を身に着けた鎌田は、後半41分までの出場と攻撃の活性化、何より得点と確かな結果を残した。
「もう少しシュートを決められるようにならないと」と、それでも飽き足らない鎌田。さらなる代表での活躍が、2か月後に迫るワールドカップの大地で灯へと変わるに違いない。