勝利目近の韓国代表チームに対して、ホームサポーターが怒りの大ブーイングをお見舞いした。

 現地9月27日、ソウルで開催されたのが、韓国代表vsカメルーン代表のフレンドリーマッチだ。日本代表と同じく韓国代表にとっても、カタール・ワールドカップを2か月後に控えたタイミングで、国外組をフルで招集できる最後の機会。ソン・フンミンやファン・ヒチャン、ファン・ウィジョ、キム・ミンジェら錚々たるメンバー26名の中には、期待のホープであるイ・ガンインの名もあった。実に1年6か月ぶりとなるA代表招集だ。

 今シーズンはラ・リーガのマジョルカで絶好調を維持。6試合に出場して1得点・3アシストと結果も出しており、ついにパウロ・ベント代表監督を振り向かせた格好である。だが、9月シリーズの第1戦となったコスタリカ戦(2-2/9月23日)では出場機会が訪れず。韓国国内で絶大な人気を誇る21歳だけに、マスコミはベント監督に「次のカメルーン戦には出場するのか?」とストレートな質問をぶつけたが、指揮官は「即答はできないよ。状況による」とやんわり返答するにとどまった。

 迎えたカメルーン戦、韓国は35分にソン・フンミンが2戦連続のゴールを挙げて先制。攻守両面で充実のパフォーマンスを披露した。すると終盤、スタンドからは「イ・ガンイン! イ・ガンイン!」と出場を求める大音量のチャントが鳴り響き、交代選手が異なる選手だとブーイングがこだましたのだ。結局、イ・ガンインにお呼びはかからず、久々の代表復帰は飾れなかった。試合は1-0で韓国が勝利している。
 

 試合後の記者会見に登場したベント監督に対して、報道陣から「イ・ガンインのチャントは聞こえていたのか?」との質問が投げかけられた。ポルトガル人指揮官は「耳はふたつあるからね。聞こえないわけがないよ」と話して、次のようにコメントした。

「彼がどれだけ愛されているのかが分かったし、とても感銘を受けた。でも、彼だけが出場できなかったわけじゃない。チームにとってどんなオプションを探るべきかは試合によって異なるし、戦術的な問題もある。招集したすべての選手を出場させることはできないんだ。そう考えれば今回の2試合は、イ・ガンインにとって良いものではなかったかもしれない」

 とはいえ、今回招集された26名が、ワールドカップ本登録の26名にも選ばれる公算はきわめて大きく、イ・ガンインが滑り込む可能性も高い。試合前の会見で、「クラブで活躍すれば、きっと招集してくれると信じていた。サッカー選手なら誰だって当然、ワールドカップに出場したいに決まっている」と熱く語っていたイ・ガンイン。はたして、若きファンタジスタとファンの願いは叶うのだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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