【試合展望】5日目に優勝候補ブラジルが登場、怪我明けエースを抱える韓国は難敵ウルグアイと対戦

 カタール・ワールドカップ(W杯)の大会5日目は優勝候補ブラジル代表が登場。日本にもなじみの深い“ピクシー”ことドラガン・ストイコビッチ監督が率いるセルビア代表が迎え撃つ。アジアで最後の登場になる韓国代表は、負傷して手術を受けたエースFWソン・フンミンがフェイスガードを着用して難敵ウルグアイ代表に挑む。そして、マンチェスター・ユナイテッドとの契約解除で話題のポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドは、ピッチ上のプレーで批判を封じ込められるか。

■スイス×カメルーン
グループG第1戦
キックオフ:現地時間11月24日13時(日本時間24日19時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:FWブレール・エンボロ(スイス)、FWエリック・シュポモティング(カメルーン)

 スイスは昨年の欧州選手権を優勝したイタリアと同組に入った予選を首位通過して本大会に出場し、そのチーム力を示している。MFグラニト・ジャカとMFジェルダン・シャキリは代表チームの顔とも言えるベテランだが、前線ではモナコで日本代表MF南野拓実と同僚のFWブレール・エンボロも注目の存在。全体的に身体能力の高い選手がそろうが、GKヤン・ゾマーはW杯予選のイタリア戦でのペナルティーキック(PK)ストップや、欧州選手権のフランス戦でPK戦を制すなど数々の実績を持つ「PK職人」として知られる。

 2大会ぶりの出場となるカメルーンだが、1990年イタリアW杯で鮮烈なベスト8入りした以外はグループステージを突破したことがない。本大会の試合では7連敗中だけに、この初戦で何とか今までとは違うところを見せたいだろう。欧州でプレーする選手が多い中では、ドイツの絶対王者バイエルン・ミュンヘンでプレーするFWエリック・シュポモティングが中核。彼の得点力を生かせるかどうかがカギになるだろう。

■ウルグアイ×韓国
グループH第1戦
キックオフ:現地時間11月24日16時(日本時間24日22時)
放送・配信:フジテレビ系、ABEMA
注目選手:MFロドリゴ・ベンタンクール(ウルグアイ)、FWソン・フンミン(韓国)

 2010年南アフリカW杯で3位に躍進した当時から残るFWルイス・スアレスとFWエディンソン・カバーニにとっては最後の大舞台になるだろう。南米予選は3位通過したが、その両ベテランアタッカーだけでなくMFジョルジアン・デ・アラスカエタも存在感を放った。そして、中盤の底にはプレーメーカーのMFロドリゴ・ベンタンクールが構える。スマートなゲームコントロールは注目で、ベテランアタッカーを生かせるか注目だ。

 アジア勢で最後の登場となる韓国は初戦から難敵に臨む。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の試合で左目付近を骨折して手術したFWソン・フンミンは、フェイスガードを着用して出場見込み。万全なら現在アジア最高のアタッカーであることは疑いがないだけに、コンディションが注目される。また、南米特有のしたたかさにハマらないゲームを展開できるか。Jリーグからはガンバ大阪のDFクォン・ギョンウォンが選出されている。

■ポルトガル×ガーナ
グループH第1戦
キックオフ:現地時間11月24日19時(日本時間25日1時)
放送・配信:テレビ朝日系、ABEMA
注目選手:FWクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)、MFトーマス・パーティ(ガーナ)

 何と言っても大会が開幕してから所属のマンチェスター・ユナイテッドとの契約解除が発表されたFWクリスティアーノ・ロナウドのプレーが注目される。実績はずば抜けているが、37歳のベテランのピッチ外の騒動がチームに影響するのかどうか。FWアンドレ・シウバやFWジョアン・フェリックスといった選手たちとロナウドがどのような関係性になるのかも注目される。いずれにせよ、まずはチームが一体感を持って試合に臨めているのかどうかを確認することになりそうだ。

 ガーナ代表は2大会ぶりの出場になるが、過去には2回の決勝トーナメント進出を果たすなどW杯では活躍している。今回のチームではアーセナルに所属するMFトーマス・パーティが中盤の要になるだろう。強豪ポルトガルが相手になる初戦だが、立ち上がりに相手の動揺を誘うような勢いを出せれば勝機は十分。あとは、FWジョルダン・アイェウなど前線の選手がチャンスを生かすことができるか。

■ブラジル×セルビア
グループG第1戦
キックオフ:現地時間11月24日22時(日本時間25日4時)
放送・配信:NHK、ABEMA
注目選手:FWネイマール(ブラジル)、MFセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチ(セルビア)

 今大会での出場32チームで最後に登場するカードが5回優勝のサッカー大国ブラジルの試合。チッチ監督の選出したメンバーは、9人ものFW登録がいることが話題になっている。その多士済々のアタッカーたちの中で、初戦でチームに勢いをつけることが求められるのはやはりFWネイマールだろう。各ポジションに経験も実績も十分な選手たちが揃うが、39歳の大ベテランDFダニ・アウベスをメンバー入りさせたのはメンバー登録が26人に拡大された効果か。精神的に頼れる存在がいるのは大きいだろう。

 対するセルビア代表は名古屋グランパスで選手や監督として所属した“ピクシー”ことドラガン・ストイコビッチ監督がチームを率いる。前日会見ではブラジル戦について「恐れることはない」と話した。伝統的に曲者ぞろいという印象を与える旧ユーゴの一角だが、その中では年齢的にも成熟して大会を迎えるMFセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチが中心になるか。FWアレクサンダル・ミトロビッチの一発もブラジルに脅威を与えるには十分だろう。

【グループ展望】グループGはブラジルが1位抜け筆頭、グループHは30代半ばを過ぎた“スター選手”の起用法が鍵か

■グループG
ブラジル/セルビア/スイス/カメルーン

 基本的には南米予選を圧倒的な強さで通過したブラジルの力が抜けていると見込まれる。スイスとセルビアはいずれも欧州の第2グループと目される立場のチームだが、スイスは予選でイタリアを勝ち点で上回って突破を決めたように侮れない力がある。ストイコビッチ監督の存在から日本でも注目されそうなセルビアは、初戦のブラジル戦を受けて次のゲームからの戦略を決めることになるだろう。カメルーンはなかなか本大会で存在感を示すことができていないので、初戦で勢いに乗れるかどうかだ。

■グループH
ポルトガル/ガーナ/ウルグアイ/韓国

 過去の実績を見ればポルトガルとウルグアイが優位にみられるグループだが、共通点は30代半ばを過ぎたスター選手がいずれも前線で健在だということ。しかし、プレーを見れば全盛期を過ぎているのは明らかになっているので、場合によっては監督の決断力が求められるかもしれない。それだけに、韓国とガーナにも突破のチャンスは十分にありそうだ。特に、それぞれの初戦を引き分け以上で入ることができれば一気に大混戦グループに持ち込むことができるだろう。(FOOTBALL ZONE編集部)