【戦評】ポルトガルのロナウド、ブラジルのリシャルリソンが躍動

 カタール・ワールドカップ(W杯)は大会5日目を迎え、出場32チームがすべて1試合ずつを終えた。優勝5回のブラジル代表はFWリシャルリソンの2ゴールで好発進。ポルトガル代表は“無所属”になったFWクリスティアーノ・ロナウドが史上初の5大会連続ゴールを決めるなど、ガーナ代表に競り勝った。また、アジア勢で最後の登場となった韓国代表は、南米の武闘派集団ウルグアイ代表と引き分けている。

■スイス 1-0 カメルーン
グループG第1戦
キックオフ:現地時間11月24日13時(日本時間24日19時)

1-0 後半3分 ブリール・エンボロ(スイス)

 欧州予選でイタリアを抑えて出場を決めたスイスは、全体的に主導権を握ったがゴールが遠い展開になった。しかし、後半3分、左サイドの低い位置から右サイドの高い位置までパス2本で展開を変えると、中央へのラストパスをFWブレール・エンボロが押し込んだ。フランス1部ASモナコで日本代表MF南野拓実の同僚は、カメルーンにルーツを持つという縁も持つが大舞台の一撃でチームを勝利に導いた。一方のカメルーンは、これでW杯本大会での連敗が8に伸びてしまった。

■韓国 0-0 ウルグアイ
グループH第1戦
キックオフ:現地時間11月24日16時(日本時間24日22時)

 アジア勢で最後に大会のピッチに立った韓国は、エースFWソン・フンミンがフェイスガードを着用して登場。しかし、最高のコンディションという感はなく、ウルグアイのしたたかな試合運びに多くのチャンスは作らせてもらえなかった。ウルグアイは前半にDFディエゴ・ゴディンのヘディングシュート、後半にMFフェデリコ・バルベルデの強烈ミドルがゴールポストを直撃。FWルイス・スアレスとFWエディンソン・カバーニも不発に終わり、スコアレスドローとなった。

■ポルトガル 3-2 ガーナ
グループH第1戦
キックオフ:現地時間11月24日19時(日本時間25日1時)

1-0 後半20分 クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)
1-1 後半28分 アンドレ・アイェウ(ガーナ)
2-1 後半33分 ジョアン・フェリックス(ポルトガル)
3-1 後半35分 ラファエル・レオン(ポルトガル)
3-2 後半44分 オスマン・ブカリ(ガーナ)

 後半の半ばから一気に動いたゲームは、ポルトガルがFWクリスティアーノ・ロナウドが自ら得たPKを蹴り込んで先制。これが史上初のW杯5大会連続ゴールになった。ガーナも粘りを見せ、ベテランのFWアンドレ・アイェウの同点ゴールで追いすがったが、ポルトガルは次代を担う若手アタッカーのFWジョアン・フェリックスとFWラファエル・レオンが追加点。1点を返されたうえに試合終了間際にはGKがボールを奪われる危険な場面もあったが、何とか逃げ切った。

■ブラジル 2-0 セルビア
グループH第1戦
キックオフ:現地時間11月24日22時(日本時間25日4時)
1-0 後半17分 リシャルリソン(ブラジル)
2-0 後半28分 リシャルリソン(ブラジル)

 本大会の出場32チーム登場の最終カードは、スター軍団の王国ブラジルと欧州の曲者セルビア代表。FW登録の選手を4人スタメンに送り込んだブラジルは攻撃的に試合を支配してセルビアを圧倒。ゴールが生まれる瞬間こそ後半17分までかかったが、後半28分に決まったストライカーのFWリシャルリソンの2点目は早くも大会ベストゴール確定という声も上がるほどのスーパーゴール。名古屋グランパスの選手や監督として馴染み深いドラガン・ストイコビッチ監督が率いるセルビアは、苦しい90分間を過ごした。

【グループ順位】ブラジル、ポルトガルが順当に首位

■グループG
1位 ブラジル 勝ち点3(得失点差+2)
2位 スイス 勝ち点3(得失点差+1)
3位 カメルーン 勝ち点0(得失点差-1)
4位 セルビア 勝ち点0(得失点差-2)

■グループH
1位 ポルトガル 勝ち点3(得失点差+1)
2位 ウルグアイ 勝ち点1(得失点差±0)
2位 韓国 勝ち点1(得失点差±0)
4位 ガーナ 勝ち点0(得失点差-1)

 グループGは優勝候補ブラジルが順当な白星スタートを切った。攻撃的な選手がズラリと並ぶスタメンだが、その選手たちがハードワークする姿は圧倒的。アンカーに君臨するMFカゼミーロの存在感も抜群で大崩れは考えにくい。スイスも白星スタートを切ったが、第2戦でブラジルと激突する。前回ロシアW杯での対戦と同様に引き分けに持ち込めれば、喜ぶべき結果だろう。カメルーンとセルビアは第2戦が生き残りをかけた勝負になる。セルビアはここで勝利してスイスとの第3戦を決戦にしたいところだ。

 グループHはポルトガルが辛くも勝利したが、盤石の印象はない。記録を達成したロナウドと、初戦で結果を残した若手アタッカーたちの貢献度を監督がどう判断していくのかも今後の注目だろう。ウルグアイと韓国は勝ち点1ずつを手にしたが、十分にグループリーグ突破に希望の持てるスタートと言える。特に韓国は大会の進行とともにソン・フンミンのコンディションが上がればチームの姿が変わってくるだろう。ガーナは内容的に勝ち点0で終わったのが痛い。第2戦の韓国戦は背水の陣になる。(FOOTBALL ZONE編集部)