ブライトン時代の恩師・ポッター監督とチェルシーで再会

ククレジャの所属するチェルシーは、イングランド・プレミアリーグで、ビッグ6の一端を担う強豪。しかし今季は開幕から成績不振に陥っている。今夏には新オーナーのトッド・ベーリーの下で、ククレジャをDFとしてはクラブ史上最高額で獲得するなど大型補強を敢行した。ところが、一昨季にビッグイヤーをもたらした名将トーマス・トゥヘルを移籍市場閉幕から1週間も経たないうちに電撃解任。この突如の解任劇はサッカー界に激震が走った。後任には日本代表MF三笘薫が所属するブライトンで結果を残した智将グレアム・ポッターを招へい。人とボールを流動的に動かすポゼッションサッカーに定評がある新指揮官の下、チームは大きく生まれ変わろうとしている状況だ。

この監督交代はククレジャにとって追い風になると予想される。なぜかというとポッターは昨季までのブライトンで、ククレジャを主力として起用した、恩師とも言える存在だからだ。トゥヘル体制では左ウイングバックを務めていたが、ポッター体制では3バックの一角としてのプレーも増えそうだ。ポッターの戦術を熟知しているのもアドバンテージで、より一層チームでの存在感が増していくと思われる。

悔しい思いをしたバルセロナ時代。飛躍したエイバル&ヘタフェ時代

スペイン・カタルーニャ州のバルセロナで生を受けたククレジャは、7歳の頃に地元エスパニョールの下部組織に加入。そこで才能を認められると6年後の2012年にバルセロナの下部組織へと移籍した。バルセロナでも順調に成長し、2016年にはバルセロナBに昇格するなど、トップチームでの活躍も期待される有望株として知られるようになっていた。しかし、当時のバルセロナにはスペイン代表DFジョルディ・アルバが絶対的なレギュラーとして君臨しており、ククレジャにはチャンスが回ってこない状況が続いてしまった。トップリーグでの経験を積みたいと考えた結果、2018年夏にエイバルへのレンタル移籍を決断している。

このエイバル移籍が、キャリアに大きな影響を与えることになる。当時クラブを指揮していたホセ・ルイス・メンディリバル監督は同選手を本職のサイドバックではなく、一列前のサイドハーフで起用したのだ。メンディリバルは組織的なプレッシングを重要視する監督であり、日本代表MF乾貴士の恩師としても知られている。サイドバック出身で高い走力を持つククレジャは、すぐさまチームで重要な存在となった。前線から走り回って相手にプレッシャーをかけつつ、攻撃時はフリーランでチャンスを作るなど八面六臂の活躍を見せ、エイバルの1部残留に大きく貢献した。

シーズン終了後にバルセロナに復帰したが、トップチームに定着することは叶わず、2019年夏からはヘタフェへとレンタル移籍している。当時の監督であるホセ・ボルダラスはククレジャのサイドハーフでの起用を継続した。加入後すぐに主力に定着すると、2020年夏にはヘタフェへと完全移籍。ボルダラスはとにかく球際の強さを求め、ファウルを犯すことも厭わない監督として知られており、ヘタフェでの2年間が球際における強さを大きく成長させた。

2021年夏にはブライトンへ1800万ポンド(約28.8億円)の移籍金で加入し、プレミアリーグに挑戦。加入後すぐに左ウイングバックのポジションを掴むと、一列前のベルギー代表FWレアンドロ・トロサールとの好連係を築き、攻撃でハイパフォーマンスを披露した。守備では対人守備の軽さこそあるものの、思い切りの良いスライディングはサポーターの目を引いた。シーズン途中には3バックの左センターバックへとポジションを落としたが、すぐさま適応。ビルドアップではドリブルやパスで相手のプレスを打開し、当初の課題だった対人守備もめきめきと上達した。シーズン通してMVP級の活躍を見せたククレジャは2022年夏に6500万ポンド(約104億円)という大金を残してチェルシーへ去っていった。

弱点を克服してきた成長力がも魅力

バルセロナの下部組織出身ということもあり、パスやボールを受ける際の身体の向きの上手さなど、フットボールの技術を高水準で備える。90分間走れるスタミナや強烈な球際の強さ、思い切りの良さも身に着けている。トップスピードがそこまで速いわけではないが、そこは危機察知能力の高さでカバーしている。総評すると、サッカーIQが高く攻守両面でチームに貢献することができるプレーヤーと言えるだろう。

状況に応じてオーバーラップとインナーラップを使い分けられるインテリジェンスを持ち、一列前のウインガーとの連係で相手の脅威となるのが特徴だ。ハイクロスの精度はそこまで高くないが、GKとDFの間に速い弾道のグラウンダークロスを送り込んでチャンスを演出することが多い。

何より、ククレジャの最大の魅力はその成長力だ。エイバルでトップリーグのスピードに適応しつつ前への推進力を身に着け、ヘタフェでは球際の強さを、ブライトンでは対人守備が圧倒的に改善されるなど、常に自分の弱点に向き合い克服する姿勢こそが、ここまで評価を高めた要因である。

大逆転でのスペイン代表入りへ

U-16から常に世代別代表に招集されており、ヘタフェ時代の2020年12月にはスペイン代表に初招集されている。しかし、本稿執筆時点ではわずか1試合の出場に留まっており、その1試合も本来のA代表内で新型コロナウイルスの陽性反応が見られた選手がいたための応急処置として東京オリンピックに出場予定のU-23が代役として戦ったゲームである。そのためルイス・エンリケ率いるスペイン代表では出場したことがないというのが現状だ。

プレミアリーグで結果を残しているのにも関わらず、代表から声がかからないのは選手層の問題が大きいだろう。ジョルディ・アルバやホセ・ルイス・ガヤ、マルコス・アロンソと、スペイン代表の左サイドバックは激戦区なのだ。ルイス・エンリケ監督は直近1年で代表メンバーを固定しており、その中で招集されていないククレジャの2022 FIFAワールドカップ カタール(カタールW杯)メンバー入りは厳しいと言わざるを得ない。しかし、同監督は「40人のリストからワールドカップメンバーを決める」と発言しており、大逆転での本大会行きの可能性も多少は残されている。そのためにもまずは恩師が率いるチェルシーでの戦いに集中する必要があるだろう。

文・加藤亮汰
 

写真:青木紘二/アフロスポーツ
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