11月1日、カタール・ワールドカップに臨む日本代表のメンバー26人が発表される。森保一監督の構想はほぼ固まっているとの見方もあるが、果たして“サプライズ選出”はあり得るのか。森保ジャパンを取材する3人の記者に見解をうかがった。

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▼飯間健記者(スポーツニッポン新聞社)の見解
 森保一監督の性格からいって、今まで一度も選出されていない選手の招集はないだろうな、と思っている。

 でもW杯は世界最高峰の戦いの場であるとともに、お祭りでもある。しかも今大会は通常よりも3枠多い26選手の登録が可能。少しくらいのロマンは求めたい。

 1人目はG大阪時代から知るオーストリア1部LASKリンツのFW中村敬斗はどうですか?

 中村が得意とする左サイドは久保建英、三笘薫、南野拓実、そして相馬勇紀もいる。多士済々。でも元G大阪監督のレヴィー・クルピが「チームで一番シュートが上手い」と惚れ込んだ逸材で、ミドルレンジからの1発がある。

 さらに元々の武器だったカットインからの右足シュートだけではなく、今はカットインすると見せかけて、縦に持ち出しての左足シュートも成長。ラインブレイカーとしても成長著しい。

 何よりも一度はオーストリア2部までカテゴリーを落としながら這い上がってきた強靱なメンタルは見逃せない。今季公式戦12試合で9得点・5アシストは決してフロックじゃない。

 そしてもう1人はC大阪のMF石渡ネルソン。10月2日、JFL枚方との練習試合を見た時に度肝を抜かれた。

 185センチながら速さと強さを持ち、パスの上手さや視野の広さも光った。スケールの大きさが違うこの17歳にW杯を見せれば、数年後はどうなっているのだろうか……。サプライズというよりも個人的な期待枠で申し訳ありません。
 
▼唐沢裕亮記者(東京新聞)の見解
 森保一監督のこれまでの発言からすると、サプライズというのは考えにくい。しっかりと積み上げていくチーム作りをしてきた指揮官だけに、新顔の選手をいきなり選出することはないだろう。

 ただ、可能性があるとすれば前線か。過去には2006年のW杯ドイツ大会での巻誠一郎や、14年ブラジル大会の大久保嘉人といったFWがサプライズ枠でメンバー入りした。

 今年2月以降、怪我などで招集されていないとはいえ、実績十分の大迫勇也は選ばれると見る。むしろ、大迫の回復が間に合わないなどの想定外があった場合は波乱の余地は残る。

 そうなると、7月のE-1選手権で初招集された町野修斗にも滑り込むチャンスが出てくる。直近の活動に参加しているとはいえ、招集歴の浅さからすれば驚きと言えるだろう。

 無理を承知で個人的に期待したいサプライズは長谷部誠。すでに代表を引退しているから叶わないが、世界を知る38歳の実力、求心力は今も貴重だ。

 板倉滉が怪我からの復帰途上で、3バックの中央や中盤の底をこなせる点も頼もしい。監督とのパイプや選手のまとめ役という重責を担う吉田麻也の相談相手にもなれる。
 
▼内田知宏記者(報知新聞社)の見解
 サプライズ選出と呼ばれる現象は、監督と周囲の評価が食い違った時に起こる。起用実績が乏しい選手が選ばれた時もそう言われるだろう。

 今回、その条件に当てはまるのは、町野修斗。国内組を中心に編成されたE-1選手権で招集され、9月のドイツ遠征にも名を連ねた。チームの潮流を変えるほどの活躍を見せたか、と言われればそうではないが、首脳陣からの評価は高いと聞く。サプライズのにおいがする。
 
 町野はポストプレータイプ。同タイプの大迫勇也はようやく復調の兆しを見せたとはいえ、状態面の不安がぬぐえない。大迫のバックアップとして、ポストプレーヤーをもう1枚呼ぶ選択をした時に、真っ先に目がいくのが町野になる。スピードタイプが多いFW陣にあって、町野は別の物差しで測られると言ってもいい。FWの3、4番手は選手単体よりも、タイプで選ぶ場合もある。サプライズがあるとしたら、ここではないか。

 一方で2列目は、逆のサプライズが起こる可能性がある。原口元気、南野拓実、鎌田大地、伊東純也、三笘薫、堂安律、久保建英の常連組に、相馬勇紀、旗手怜央がくらいつく構図。他のポジションでサプライズ選出が起きた時、ここで玉突きが起こっても不思議ではない。サプライズは選出、落選とセットでもたらされる。

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