フランスでは、カタール・ワールドカップを公共の場で楽しむことは叶わなくなりそうだ。フランスメディア『RMCスポーツ』が伝えている。

 5日、『RMCスポーツ』はリヨン市が今大会のW杯で街中に巨大スクリーンを設置しないという宣言を引用して報道。リヨン市長のグレゴリー・ドゥセ氏は自身の『Twitter』にて、「リヨン市は、カタールでのW杯を宣伝しないし、試合も放送しない。それは、独裁政権に仕えるために権利が軽視されてきた人間的・生態学的放棄だ。我々は耐え難い罪悪感に満ちた状況の囚人だ。なぜならW杯であるはずのこの祝賀会に参加したいからだ。私は主催者だけでなく、これが起きるのを許した人々も非難する」宣言している。

 また、『RMCスポーツ』は今日までカタールW杯の放送ボイコットに関連したニュースをまとめており、今日までにサンテティエンヌ、パリ、マルセイユ、ボルドー、リール、ストラスブールなど数多くの都市から放送ボイコット宣言が出ていることを報じている。

 なお、ニースとカンヌに関しては4日に声明を発表。共に、「フランス代表の結果に応じて」、放送するかの決定を下すとしている。

 2021年2月にイギリス紙『ガーディアン』が報じた記事によると、カタールではインドやパキスタンなどからの移民労働者6500人が、W杯招致以降にスタジアムの建設現場などで死亡しているというニュースが伝えられた。またカタールの人権問題はこれだけに留まらず、厳しい反LGBT法なども問題視されている。イングランド代表の主将ハリー・ケインは、多様性と包摂性を促進し、差別に反対するためにオランダが主導するキャンペーンの一環として、ワールドカップの期間中には「OneLove」の腕章を巻く予定となっており、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、ウェールズ、スイスも賛同しており、W杯不出場国ではノルウェーとスウェーデンも支持を明確にするなど、世界中でカタールに関する抗議のメッセージが発信されている。

 いつもであれば、楽しいお祭りになるはずのW杯。しかし、今回は簡単に楽しめる訳ではなさそうだ。