FIFAワールドカップ2022の開催国であるカタールでは、海外から訪れるファンが利用する主要空港の受け入れ態勢に不安の声が上がっているようだ。11日、イギリス紙『デイリー・メール』が報じている。
カタールの首都ドーハに位置するハマド国際空港は、同国の主要空港として、11月に開幕を控えるワールドカップでも世界中から集まる多くのファンの利用が予想されている。しかし、通常は1日に700便ほどがこの空港に離着陸をするところ、W杯期間中は1日に1600便ほどが往来するものとみられており、倍以上に増える便数と交通量に対する空港の受け入れ態勢の整備が間に合わないのではとの指摘がなされている。
ハマド国際空港では、利用客が倍以上に増加することが見込まれることを受け、急ピッチで大勢の新たなスタッフが雇用された模様。しかし不安が指摘されているのは、その採用プロセスや新たに採用された空港スタッフたちの研修不足で、安全性を危惧する声が上がっており、関係者の中には「危機的状況にある」とコメントした者もいるようだ。
空港で働くスタッフたちは、カタール民間航空局(QCAA)から、W杯が「カタールにとって非常に重要であり、州の最上層から非常に高い期待がある」と告げられた上で、労働者は「高官とその代表者によって綿密に監視される」と宣告されている模様。空港の運用を“妨害”しているとみなされた者は、国家によって処分されるという脅しに近い警告もあったようで、さらに労働者たちは退職を禁じられているとの報道も。非難を恐れる労働者たちの多くは、匿名での労働を希望していると報じられている。
QCAAは、「ワールドカップ期間中の交通量の急増を見越して、カタール国は交通管制システムをアップグレードし、イベントの開催に先立って綿密な計画を立てました」、「QCAAの研修および安全管理システムは、国際民間航空機関によって定義された基準を満たし、そしてそれを上回っており、これらの基準に対する監査を通過しています」と声明を発表しているが、かねてより人権問題などでも懐疑的な視線を集めるカタールは、滞りなく中東初開催のビッグイベントを成功させることができるのだろうか。