チームの復活と共に状況を好転できるか?

今回はチェルシーで背番号29を背負うドイツ代表MFカイ・ハヴァーツのこれまでのキャリアや代表での活躍、プレースタイルについて紹介する。

2021-2022シーズンはロメル・ルカクやティモ・ヴェルナーの不調もあって、本職の2列目ではないストライカーのポジションでプレーすることが多かったが、2022-2023シーズンはラヒーム・スターリングとピエール=エメリク・オーバメヤンの加入も相まって、2列目でのプレー機会が増えている。

肝心なスタッツを見ると、クラブの不調の影響もあって今季は開幕から公式戦8試合を経過した中でわずか1ゴールと得点を量産することはできていないが、9月上旬に監督に就任したグレアム・ポッターの下での活躍が期待されている。ポッターはトーマス・トゥヘル前監督同様にシャドーを置くシステムを採用する指揮官であり、チームの復活とともに、ハヴァーツ自身も新監督の下で結果を好転させたいところだ。

ドイツで成長し、イングランドの地へ旅立つ

ハヴァーツは地元アーヘンのアレマニア・マリアドルフでサッカーを始め、2010年にレヴァークーゼンのユースへ移籍した。ユース年代で順調に得点を量産したハヴァーツは2016-2017シーズンに当時のクラブ史上最年少(17歳と126日)となる若さでトップチームデビューを飾り、いきなり24試合で4得点6アシストとブンデスリーガでも通用することを証明した。

その後はブンデスリーガ史上最年少(18歳と307日)で50試合出場を達成するなど、若くしてチームの中心となり、2018-2019シーズンは17ゴール、2019-2020シーズンは12ゴールとユース時代同様に得点を量産した。

所属クラブでの活躍からドイツ代表でも常連となり、国際的な評価も高めた中で、2020年夏にイングランド・プレミアリーグを代表する強豪チェルシーに完全移籍した。7200万ポンド(約115億円)という移籍金からも期待の高さが伺える。

しかし、プレミアリーグの適応にはやや苦しみ、当時の指揮官フランク・ランパードは2021年1月に成績不振に伴い21年1月に解任されるなどチームの調子は悪かった。それでも後任のトゥヘルの下で守備が改善されると、一気に調子を上げて、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)ではマンチェスター・シティと決勝で対戦。この重要な一戦で結果を残したのが、それまで不完全燃焼なシーズンを過ごしていたハヴァーツだった。

2020-2021シーズンはプレミアリーグでは27試合で4得点5アシスト、CLでは準決勝終了時点で12試合0得点2アシストとドイツ時代の輝きは鳴りを潜めていたが、CLファイナルという大舞台で42分に決勝ゴールを決め、チェルシーにクラブ史上2度目のビッグイヤーをもたらした。

続く2021-2022シーズンは先述した通り、ルカクとヴェルナーの不調もあってゴールに近いエリアでプレーすることが増え、公式戦47試合で14得点6アシストと1年目を超える結果を残している。

惚れ惚れする柔らかいボールタッチ

2列目より前のポジションであればサイド、中央問わずに全てのポジションでプレーできる選手だ。圧倒的なスピードがあるわけではないが、周りの選手とのワンツーの抜け出しなど連係から決定機を演出して得点を決めるのがお決まりのパターンだ。

そしてハヴァーツといえば、惚れ惚れするほどの柔らかいボールタッチだろう。190cmの上背がありながら、足下の技術が柔軟で、受け手にとって難しいボールでも足下で正確にコントロールする。

左足の精度はシュート、パスともに高い。二桁アシストは記録したことがないため、ラストパスの質は今後の課題だが、ブンデスリーガ時代に17得点を決めたことからもシュートの上手さは証明されている。2022年9月に行われたイングランド戦では、ゴール左隅に美しいミドルシュートを決めた。

一方で試合から消えることが多い点や運動量の少なさ、プレスの甘さなど課題も多い。これをポジティブに捉えればそれだけ伸びしろがあるということであり、彼の天性のサッカーセンスを考えると今後の成長の余地は大いにあるだろう。

バイエルン勢を押しのけドイツ代表入りへ

ハヴァーツはレヴァークーゼンでの活躍が認められ、19歳の若さでドイツ代表デビューを飾っている。代表デビューが2018年9月だったため、ワールドカップに出場した経験はないが、2021年夏に行われたユーロ(欧州選手権)では全4試合に出場し、2得点を決めた。

現在のドイツ代表の前線にはハンジ・フリック監督の古巣であるバイエルン・ミュンヘンの選手が多く招集されているが、その中でハヴァーツは多くの出場機会を得ている。だが、絶対的なスタメンというわけではなく、6月からのUEFAネーションズリーグでは3試合の先発出場に留まっている。

それでも2022 FIFAワールドカップ カタール(カタールW杯)ではスタメンに名を連ねる可能性が高いだろう。というのも、セルジュ・ニャブリやレロイ・サネらバイエルン勢は不調な選手が多く、直近の代表戦でのパフォーマンスで評価を下げている。一方のハヴァーツは、ワールドカップのメンバー発表前最後の試合となったイングランド戦で2ゴールを決めており、アピールに成功している。この勢いをそのままに、11月に開幕する2022 FIFAワールドカップ カタール(カタールW杯)でもチームの勝利に貢献したいところだ。

写真:AP/アフロ

FIFA ワールドカップ カタール 2022 完全ガイド by ABEMA
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